着飾る女
鏡の中に蝶が舞う
それを捕らえて耳に飾った
女の名前はジャンブ
唇は鴉の羽根の艶めき
指先には愛を
鼻筋には光を
アイシャドウの色が
瞬きするたびに変化する
眉の角度が気に入らず
睫毛がはらりと落ちていく
執事が背後に回り
彼女の鎖骨に薫りを与えた
化粧台に住む妖精に涙を与える
恋の数だけ刻まれた頸筋
天鵞絨の椅子の先に
彼女の足はない
転げ落ちるジャンブ
ドレスのレースで穢れた血を拭く
死んだ子のわらい声が聞こえる
病的に細い腕の嘆き
椅子に攀じ登る醜い姿よ!
蝶はすでに鏡に帰り
ファンデーションは崩壊する
彼女の背には黴が生えていた
着飾る女