着飾る女

鏡の中に蝶が舞う
それを捕らえて耳に飾った
女の名前はジャンブ
唇は鴉の羽根の艶めき

指先には愛を
鼻筋には光を
アイシャドウの色が
瞬きするたびに変化する

眉の角度が気に入らず
睫毛がはらりと落ちていく
執事が背後に回り
彼女の鎖骨に薫りを与えた

化粧台に住む妖精に涙を与える
恋の数だけ刻まれた頸筋
天鵞絨の椅子の先に
彼女の足はない

転げ落ちるジャンブ
ドレスのレースで穢れた血を拭く
死んだ子のわらい声が聞こえる
病的に細い腕の嘆き

椅子に攀じ登る醜い姿よ!
蝶はすでに鏡に帰り
ファンデーションは崩壊する
彼女の背には黴が生えていた

着飾る女

着飾る女

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-11-21

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