魚の眼

魚は瞳を閉じたりはしない
やがて剥かれる宝玉のままで
わたしをとりまく宥景に似ている

(ときめいた円の閃く空には傷だらけのそよ風がたゆたい、午後に戸惑う)

つんざく体温を寄波がほどかすと
めのうの螺旋が降りつもる
まっさおな淵に朽ち果てて眠るように

わたしの瞳に還りなさい
空漠が色を思い出しつつあるから
あなたをとりまく宥景には似つかない
とりとめもない話を聞かせて

魚の眼

魚の眼

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-11-21

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