宗教観の相違? 第一話
この作品は『宗教上の理由』シリーズの続編です。何それ?という方が多数でしょうが、私が細々と書き連ねてきた一連のラノベもどき群です。
今回の物語は、その続編というか、同じ世界設定で描かれています。勿論シリーズの最初から読んでいただければ作者としてはこの上ない喜びですが、途中からでも楽しめるように書くことを心がけていますので、お初の方も気負わずお読みいただければ幸いです。
1
今年、闘争心満ち溢れたアクションが支配する特撮の世界に、革命的とも言える異分子が投入された。
料理戦士スイハンジャーという、一見ふざけた名前のその作品。だがそれとは裏腹に、シリアスなストーリー展開がコアな特撮ファンの感心を集め、同時にメインターゲットである子ども達の人気も集めていた。
一方で女の子に人気の、戦う変身少女が代々主役を張るアニメ「パエリア」は十年を超えるシリーズとなり、一向に人気は衰えずにいた。この二作品が日曜朝の子どもたちをテレビの前に釘付けにしていた。
そんな子どもたちの熱狂も冷めやらず、ねえねえ昨日のスイハンジャー観た? パエリア観た? とはしゃぐ子どもたちが元気に行き交う月曜の朝。
「嬬恋さん、おはよう」
「おはよう。わー、そのデニムかわいいー」
「ありがとー。嬬恋さんもコーデ決まってるね。チェックのスカートにライダースって合うねー」
「うん、ライダース去年買ったんだけど、今年も行けるかなーと思って。やっぱ定番になってるね」
去年あたりから流行っている襟の大きく開いたライダースジャケット。ファスナーを閉めたときに襟が右前になるメンズモデルをあえて選ぶ女性も多いらしい。だがそんな右前のジャケットを着る今日の「嬬恋さん」からは全身にフェミニンな雰囲気が溢れている。
「私も参考にしてみようかなー」
友達が言った。「嬬恋さん」のお洒落センスは周囲の女子が皆認めるところなのだ。
嬬恋さんと呼ばれている彼女は、中学までは故あって東京に住む両親と離れ、親戚が守る山奥の神社で暮らしていた。だが卒業後は東京に戻り都立校へと進学。戸西高等学校は、制服のないことに象徴される自由な校風で、その中で伸び伸びと高校生活を楽しんだ嬬恋さんは、今年晴れて池袋にある有名大学の社会学部に合格した。
と、書いたところで思い出してくれる、そして頭に疑問符を浮かばせてくれる読者諸氏はどのくらいいるだろうか。「嬬恋さんって、嬬恋真耶のこと? 彼女、いや彼は、中三以降は本来の性別どおり男子として暮らしているんじゃなかったの?」
そう。「嬬恋さん」こと嬬恋真耶は生まれて間もなく一族が守る天狼神社のしきたりにならって、親元を離れ山奥の木花村にあるその神社に住まい、本来の性別を捨てて女子として成長した。しかしそのしきたりは思春期を迎えると守る必要はなくなる。そこで中三のときからは男子として過ごそうとしたところが大失敗。そう簡単には産まれつき身につけられた女の子としての振る舞いを変えられるわけはなかった。特に詰め襟学生服には強いトラウマが植え付けられてしまい、結局中学校は卒業まで女子として通い続けた。受験は制服が神社の方にあって、送る際の手違いで間に合わなかったという口実でスーツを着て臨んだ。
そして、いよいよ高校生活。神社に住み続けるしきたりからも解放されたので東京の両親の元で暮らすことになった真耶。環境の変わる今が男子デビューのチャンス!
だったのだが、見事失敗した…のだった。
結局三年間、男子高校生として振る舞おうとしながらも、いわゆるJKとしての生活を全うしてしまった真耶は、そのまま女子の外見を保ちつつ大学生になっていた。
幸い時代の進化もあってか、オープンキャンパスで確認すると大抵の大学が真耶のような性的不一致は入試に当たって不利に働かないことが分かった。真耶は安心して受験勉強に励み、見事第一希望の大学に合格した。
まあ、その大学がキリスト教主義の学校だったことは神社の子としてどうなのかという突っ込みも出来なくはないのだが、未だに女子生活を続けているほうがより突っ込み甲斐がある。
2
「でさあ、別に横浜から市ヶ谷なんて普通に通えるじゃん。なのにあのオヤジ、通学が大変だろうってんで自分の会社の物件リストどかっと持ってきてさ、うちの手持ちだとここが一番近いとか言い出して」
不満顔で話すのは、真耶の幼馴染、御代田苗。中学時代は勉強嫌いで担任の渡辺を困らせもしたのだが、ちゃっかり市ヶ谷にある大学に合格し上京していた。今、真耶は苗の住まいに遊びに来ている。
苗も真耶と同じく、訳あって横浜に住む実の親のもとを離れ、木花村にあるペンションの里子になっていた。本人は高校を卒業したらペンションの仕事をするつもりだったが、里親が、もっと広い世界を見るようにと進学を勧めた。
「オヤジが言うには市ヶ谷は遠いから、って言うんだけどさ、横浜から都内に通勤通学してる人なんてたくさんいるじゃん!」
苗は実の父親のことを「オヤジ」と呼んでいる。もっともペンションの里親のことも「おとん・おかん」と呼んでいたわけだし、もともと活動的で男子っぽい言動をするところが苗にはあったので不自然ではない。でも一方で横浜の実の父親は大金持ちで、そういう人々の集う社交界でも顔が知られていることも影響している。
実は苗は、両親の離婚で一度母に引き取られている。だが母子家庭ゆえの経済的負担や、母親が新しい男女関係を持ったときにはその男から虐待を受けたりもした。そのため苗は児童相談所に保護され、里親制度によって木花村のペンションで新しい両親とともに育ったのだが、時の経過は苗の実父に罪悪感を与えていった。そのため彼は苗に対していろいろと援助をするようになったのだが、苗にしてみれば「何を今さら」という嫌悪感もあって、少々乱暴な呼び方をわざとしているところもある。
もちろん実の父親が嫌いなわけではないし、いろいろしてくれることには感謝している。だが、その過保護ぶりには少々辟易しているところがあるし、金やモノの問題じゃ無いだろっていう反抗心もまだある。
「三度目だよ、その話」
真耶は呆れつつも、フォローするように言う。
「気を使ってるんだよ、苗ちゃんが山手の家にずっと住むのはつらいんじゃないかって」
苗が里親制度によって木花村に移り住んだ理由が親の虐待にあり、それは父が母親を捨てなければ起きなかった。だから苗の父親は今でもその罪の意識を背負っていて、苗には与えられるものをなんでも与えようとしている一方で、距離のとり方にも日々悩んでいる。が。
「つらいわけないじゃん。ウチはグダグダ悩むやつじゃないって、そんな昔のことにいつまでも。あんな広い家に一人で住むとかもったいないじゃん。そりゃオヤジの気持ちはわかるよ。でもさ…」
苗が物件リストとやらを取り出してため息をつきつつ、真耶に見せた。
「無くね? いくら何でも。この銀座で家賃六桁の部屋とか。学生の一人暮らしに贅沢すぎだっつーの。地下鉄で一本だから通学楽だろ? ってそういう問題じゃねーよ」
興奮気味の苗は、最初に否定の言葉を口にした。木花村は明治以降、別荘を建てた外国人がそのまま住み着いて発展してきた歴史を持つ。そのため村人には方言というわけではないが、たまにヨーロッパ語圏の文法が日常会話に入ってくる癖がある。
「だからオヤジの持ってるリストの中で一番安いとこにしたら、それでもタワーマンションの屋上でやんの! 大学生がこんなとこ住むか! 落ち着かないじゃん!」
憤まんやる方ないという感じの苗であるが、不器用な父親が精一杯自分にできる子への愛情を示しているのだと思うと断れないのも事実だった。
「でもここ、便利だよね。おっきい商店街があるし」
そのマンションは中央線沿線で、駅からは大規模で庶民的な商店街が続いている先にある。真耶はスーパーより商店街派なので絶好の住環境に見える。もちろん真耶の家も商店街のすぐそばだったりするし、木花村も商店街や市場が買い物の主役だ。
「ここまでの道、いいよね。なんかワクワクする」
「気が合うねえ。やっぱ生鮮食品はああいうとこで買わなきゃ。スーパーなんて邪道邪道」
真耶と苗は、思わぬところで意気投合していた。
「今度、商店街で買い物して、鍋パーティーしようよ」
「おっ、いいね。それに焼肉とかも。あと魚もいいのあるからお刺身あーんど焼き魚ってのもいいね」
「野菜も食べなきゃだよ?」
「わーってるよ、ここの野菜は美味いよ、ウチにも食べられる」
幼いときには苗は野菜嫌いだった。しかし木花村の新鮮な野菜が、彼女を野菜好きにしたのだ。
「でも、苗ちゃんが東京に来てくれて良かった」
優香は家業である農業を極めるべく長野県にある大学の農学部に入った。ハンナは京都のキリスト教主義大学に入った。今時パソコンでもスマートフォンでもすぐ連絡を取りあえるし、距離が離れたからって育まれた友情が壊れるわけもないのだが、やっぱり近距離に幼なじみがいるのは心強い。特に真耶や苗のような、特別な過去を持った子たちには、幼馴染がなおさら大事なのだろう。
「そういや、バイトどうよ? 楽しい?」
「超楽しい!」
間髪入れず満面の笑顔で答える真耶。
「そっか。楽しんでるんだ。よかったよかった」
いまどき、大学で勉強だけしている学生も少ないだろう。無論真耶は勉強大好きなのでそうなりかねないのだが、苗にはそれが心配だった。彼女からすれば机にかじりついて勉強だけしてるのはつまんない人間だと思うから、真耶が授業以外に楽しみを見出していることに、苗は安心した。
大学の課外活動といえばサークルが花形。だが苗は、真耶がサークルに入ることに抵抗を感じていることに気づいている。高校時代、部活のことで涙をのんだ経験を知っているから。
3
ところで。
スイハンジャーも他の特撮作品同様に、ショッピングモールなどでヒーローショーが行われている。大体、ショーでいちばん人気なのは主役のレッドなのだが、今年は珍現象が起きていた。スイハンピンクがやたらと女の子に人気なのだ。例年は男の子のお兄ちゃんに無理やり付き合わされた妹ちゃんが退屈そうにしている光景が見られたりもするのだが、今年は握手会の列に女の子たちが積極的に加わり、ピンクと触れ合うとニコニコ満足顔でステージから戻ってくる。
今日も無事二回のステージが終わって、キャスト達がバックステージに引き上げてきた。子どもの夢を壊すようであまり言いたくはないのだが、次々とマスクの中から人の顔が現れてくる。
いろいろな顔がある。コワモテの男性。イマ風のイケメン男子。男キャラの中から女性の顔が現れることもある。本体と中の人の性別は必ずしも一致しない、というのが業界の常識。
スイハンジャーは男性ヒーロー四人に対してヒロインはピンクひとりという、最近のヒーロー特撮シリーズの中では珍しいタイプだ。そのピンクのマスクが、ゆっくりとその中に隠れた顔を見せ始めた。
「ふぅ」
真耶だ。そう、真耶が今学業以外で情熱を持って打ち込んでいるものは、キャラショーなのだ。
スイハンピンクは、これまでの歴代のピンクの中でも異色の存在だ。
戦えないのだ。運動が苦手で怖がりでドジ。女ながらに勇ましく戦うこれまでのピンクのイメージとは正反対で、制作会社ではこれを世に出していいものか議論になったという。
だがその性格ゆえの親しみやすさが思わぬ効果を生んだ。日曜日朝の女の子達の多くは、約十年続く女児向けアニメシリーズ「パエリア」に熱中している。かつては特撮番組の続いたあとにパエリアが放映されていたのだが、番組編成の都合で今年度から順序が逆になった。当初この編成がどのような影響を与えるのか懸念の声もテレビ局内ではあったようだが、パエリアを観たあとの女の子達が本来男の子向けとされていた特撮に釘付けとなり、かえって数字を取るようになった。スイハンピンクの親しみやすさと可愛らしさは、女の子たちの日曜朝の過ごし方まで変えてしまった。
下手をすればパエリアのヒロインよりアクションの少ない彼女は、女の子達の良きお姉さん的ポジション。だから、極端な運動音痴である真耶でもスイハンピンクを演じることはたやすい、というかむしろ向いているくらいだ。戦闘でもピンクはもっぱらサポートに回り、エナジーを送るなどして味方の体力を回復させたりするのが役割。その演技は、とても活き活きとして、女優だった母の血を受けついでいるかのようだ。
真耶がスーツアクターを始めたのは高校生の頃。そして真耶がその道に進むきっかけは、さかのぼること三年前、高一の頃のある挫折にあった。
あっさりと男子ライフをあきらめた真耶には、当然のように女子の友達ができていた。
「別に帰宅部でもいいんじゃね?」
彼女たちが相談しているのは、真耶の部活について。真耶は高校入学直後から男子と女子の狭間を行ったり来たりしているうちに部活動に入るチャンスを逃してしまい、それが過剰なほど真面目な性格の真耶にとっては心苦しかった。みんな頑張っている中を帰っちゃっていいのかな、と。真耶はつねづねそれを友達にこぼしていた。
「まーでも嬬恋くんだったら罪悪感感じるってのは分かるなあ。基本真面目だもんね」
真耶の融通が効かないくらい真面目な性格は、すでに高校の友達にも把握されていた。どこかの部活に入ることが、真耶の心を安心させる材料であることはよくわかっていた。ちなみに真耶がくん付けで呼ばれるのは、当初男子として入学した名残だ。
しかし部活に入るといっても、筋金入りの運動音痴である真耶にとって運動部は鬼門も鬼門。かといって文化部といっても女子的な趣味しか持たない真耶が興味を持つ料理部とか手芸部には、リベラルを標榜する戸西高校ですら男子が入った実績がなかった。だから真耶は、自分が入るとみんなやりにくいんじゃないかと変に気を使ってしまって、入る勇気が出ない。もちろん男女ともいる文化部もある。例えば真耶は漫画なども好きだしイラストも描けるのだけど、漫画研究部に入るほどの知識はないし、男女共通の趣味にはそれほどのめり込んでいない。なのでどうにも入る部活について決め手が出せない。
ただ、長い沈黙の後に真耶がぼそっと、
「…もし、あったらでいいんだけど、チア、あるんだったら…ちょっとやってみたい…かな。でも…」
その言葉に友達二人は即反応した。
「チア? なら友達がやってるよ。善は急げ、行こうよ」
だが、もうひとりの友達がちょっと待ったという表情をして言った。
「チアって、男子でもできるの?」
そんな質問への答えは瞬時に降りてきた。
「できるよ。だってその友達がそう言ってたもん」
それで納得した友人とは対照的に、真耶は慌てたように言った。
「あ、あのね、そ、それはね、そうじゃなくて…」
そしてアワアワしながら何かを言おうとし続ける真耶だったが、もうこれで一発解決! 的な勢いの残り二人に強引に引っ張られていった。
「チアリーディング部に男子? いるよ。三人」
その友達に聞いてみたら、あっさりそう答えられて真耶以外の二人はびっくりと同時にひと安心。なんだ、男子でもポンポン振り回して踊れるんだ、と喜んだのもつかの間、
「でもね…」
チアリーディング部の彼女が言葉を濁したのを見て、真耶はああやっぱり、という顔をした。
「だよねえ。あたし男子だからそうなっちゃうよねえ」
「ちょ、ちょっと、どういうこと?」
他の二人は話についていけない。そこでチアリーディング部の彼女が説明してくれた。
「チアリーディングに男子がいてもおかしくないというかさ、男女混成でやれるスポーツなの。ただね…」
といったところで真耶の友達が話をさえぎった。
「スポーツ? チアって、他のスポーツを応援するんでしょ?」
「うん、それもするけど、自分たちでやるスポーツでもあるわけ。見たことない? こういうの」
チアリーディング部の彼女は、部の活動を記録したアルバムを見せてくれた。チアリーディング部の面々は、体育館の中央で人間タワーを作っている。チアって観客席にいるもんじゃないの? と思っていた友達二人は、頭上にはてなマークを載せている。だが、真耶はつぶやいた。
「リフティング…」
その技の名前だ。てっぺんに立つ選手を空中に舞わせる。まさにアクロバティックという言葉がぴったり来る。
唖然とする二人に、真耶が言った。
「チアリーディングって、要するに、組体操だから…。さっき、言おうと思ったんだけど…」
その説明をする暇も与えず、速攻でとばかりに真耶を連れてきてしまった二人。何となく気まずさが走った。チアリーディング部の子はその空気を感じながらも、説明を続ける。
「これは、前回の大会。こういうふうに、チアリーディングって技のレベルや美しさを競う採点競技なの。もちろん他の部の応援もするけど、自分たちで競技にも参加する、勝ち負けの世界でもあるわけ」
「男子は、どこにいるの? …あっ、いた」
真耶の友達が指さした先は、人間タワーの下の方。
「そう、男子は基本土台。上の人がジャンプするときに、推進力を付けてより高く飛ばすのが役目なの」
なるほど、写真に写った男子チアリーディング部員はかなりがっしりした身体をしている。これなら女子一人を何メートルもの高さに放り出す発射台としては申し分ないだろう。つまり、チアリーディングで男子に求められるものは、真耶が得意としているのと真逆。筋力と体力、そしてがっしりとした身体。
「え、じゃあ、ポンポン持って踊るのは違うの?」
真耶の友達二人はそんなことは初めて知ったから、こんな質問も出てくる。
「いや、それもやるけど、競技としてこういう大会もあるってこと。でもそれはあまり知られていないから、やっぱりポンポン振って踊りたくってうちに入ってくるけど、ギャップを感じてやめてっちゃう子もいたよ」
がっくりと肩を落とす三人。しかし。
「あ、でも、踊りを中心にやりたいなら、チアダンスってやつが別にあるから」
チアリーディング部員の子の言葉に、一瞬顔が明るくなった三人だった。が。
「あ、でも、チアダンスを男子がやるって話は聞いたことないなあ…。でもとりあえず、チアダンス部もあるから、話聞いてみたら?」
4
チアダンス部はその日練習が休みだったので、顧問の先生が話を聞いてくれた。しかし。
「確かにチアリーディングの方では、男子も活躍してるわね。でも、チアダンスでは聞いたことないなあ」
希望は一瞬で崩れた。真耶の友達二人はがっくりした顔をしたが、真耶はああやっぱり、というあきらめ顔をした。「でも、嬬恋くんなら男子ってバレないから、大丈夫じゃない?」
だが、顧問の先生は残念そうに首を振った。
「それがね、そもそもチアダンスの協会が大会への男子の参加を認めているかどうかも怪しいのよ。参加要項に明記はしてないけど、暗黙のルールってあるでしょ? あと、部員の子達も抵抗あるだろうし、他校からは好奇の目で見られるだろうし。でもね?」
顧問の先生は、男子のチアダンスもあるべきだと思っているのだという。他校の先生方とそういう運動もしているとかで、そのサイトも見せてもらった。
「でもねえ。なかなか世間の抵抗は大きくてね」
新体操にシンクロナイズドスイミング。これらは最初、女子のスポーツとして世間に知られたものだったが、やがて男子も活躍できる種目だという認識が広まってきた。だがそれはいばらの道だった。それらを題材にした映画が出来たりして、何年もかかってようやく世間に認知されたという具合だ。
あと、これらは競技としては男女別に行われる。スポーツだとすれば自然な話なのだが…。
「チアダンスは男女を分ける必然性が無いと思うのよね。体力差があまり関係ないから。そうすれば嬬恋さんみたいな子も抵抗なく出来ると思うんだけど…」
それまで静かに説明を聞いていた真耶の友達が急にいきどおりをあらわにして言った。
「だったら、嬬恋くんをむしろ入部させるべきですよ。そういう保守的な考え方を壊すためにも」
「そうですよ! 嬬恋くんは紛れもなく心は女子です!」
だが先生は、ヒートアップする二人をなだめるように言った。
「落ち着いて。気持ちはわかるわよ。でもこういうのは、当事者である本人の気持ちが大事だと思うの。そうでなければ、嫌がる生徒を批判の矢面にさらして、私達教師が自分たちの主張を通すため利用することになるでしょ? それに、私は嬬恋さんは、今のチアダンス部に入ることを望んでいないと思うんだけど、どう?」
先生の問いかけに、真耶は一瞬躊躇したあと、うなずいた。
「はい。チアダンスに興味はあるけど、本当の女子ばかりのところにあたしが入ると和が乱れると思います。ここは木花村じゃないですから。ひとに嫌な思いをさせてまで自分の趣味を通したくはないです。先生たちの男子にチアダンスをさせたいっていう運動にも賛成したいです。でも、自分勝手な言い分かもだけど、あたし、目立つの苦手なんです」
「正直なのはいいことよ。嬬恋さんは授業で見てるけど、自分を殺してる感じがずっとしてたの。だから目立ちたくないっていう正直なことを言ってくれて、私、安心したわ」
真耶の、自分を犠牲にしてでも他人のことを考える性格も、先生方は見抜いていた。真耶の処遇については、教師間でも悩みの種だし、なにかいい解決法がないかという課題になっていたのだ。
5
「そっか、嬬恋くんは知ってたんだ。チアリーディングとチアダンスの違い。無理やり連れてってごめんね」
「ううん、こっちこそハッキリ言わなくてごめんね。うちの村だと男の子も小学生くらいならチアやるの。だって女子がサッカーとか野球とかやる時代でしょ? 逆があって何がおかしいの? って感じで。チアボーイって言って、けっこう人気だよ。かわいいって。」
「その子達はチア続けてないの?」
「うん。やっぱ小学校でやめちゃう。男子がチアなんて恥ずかしい、って突然思い始めちゃったり、これから先続けててもチアリーディングの方に行けば体力勝負だってことも、チアダンスは受け入れてくれるところがない、ってことにも気づいちゃうから」
「嬬恋くんは?」
「やってたよ。でもあたし、女の子らしい習い事をいっぱいしなきゃって思ってたから、バレエも習ってたの。でもそっちで、男子だと女の子役ずっとやれるわけじゃないって分かって、そっかチアも同じなんだよね、って思ったら行くのがイヤになっちゃって。だからチアやりたいってさっき言ったのも、ダメ元だったの」
真耶は二種類のチアの違いを知っていたから、やりたいけど無理だよね、と言おうとしていたのだ。だがこういうとき、友達の勢いに抗せず連れ回されるのも真耶の人の良さが裏目に出ている。
というわけで目的を見失ってしまった真耶であったが、たとえ早とちりな性格でも持つべきものは友。新たな提案が早速次の日にもたらされた。
「嬬恋くんさ、バイト、やってみたら?」
もちろん、高校生のアルバイトは原則として禁止されている。だが特別な事情があればアルバイトの許可が出ることもある。昔は家計を助けるという経済的理由が多かったが、なんだかんだで豊かな現在その理由は少ない(実際は貧困家庭というのはいまの日本にも多く存在していて、その理由で働く高校生も少なくはないと推測されるのだが)。
最近はいろいろな理由が増え、なかには芸能活動を認めている公立高校もある。過去には、都立に通いながら歌手と声優でデビューし、今も現役で二足のわらじをこなす女性声優兼歌手もいた。彼女はちゃんと学業も両立して大学にも行った。
幸い戸西はそのへんの基準がゆるくて、特に真耶の場合、学校以外の環境に出たほうがより男子らしくなる機会が増えるのではないかという教師たちの期待もあって、晴れてアルバイト出来ることになった。
だが、そううまくは行かなかったというか、案の定の結果になった。ファミレスの面接に行けば女子の制服を用意され、執事喫茶の面接に行ったら系列のメイド喫茶で良ければ即採用と言われる始末。履歴書の性別欄にはしっかり「男」の方にマルを付けているというのに。
面接担当者の言い分は、
「ダメだなあ、履歴書にウソ書いちゃ。どう見たって女の子じゃない、キミ」
「性別? 関係ないよ。女子の格好の方が絶対似合うもの」
「今はやりの男の娘ってやつ? それになっちゃえばいいのに。無理に男らしくとか、疲れることやめちゃいなさいよ」
彼らは真耶にこんな言葉を浴びせて、男の子らしくなりたいという夢を砕いていったのだった。
そんななかで、真耶はスーツアクターのアルバイトを始めた。着ぐるみを着る仕事もたいていアルバイトとして募集される。真耶たちも教師たちも戦隊ヒーローのショーを思い描いていたので、男子としての振る舞いを身に着けたいという真耶の願望がついに叶うと思っていた。
しかし。特撮の世界では役の性別と演者の性別が必ずしも一致するとは限らないというのが常識。今でこそ女性でアクションをこなすスーツアクターも増えたが、それ以前は男性が女性キャラクターの役をやるのが当たり前だった。役柄と演者の性別をほぼ一致させようとするのは、メルヘンショーと言われる女児向けアニメのショーなのだが、アクションが普通に取り入れられているパエリアシリーズが女児向けショーのメインになってしまった今は、男性が女子を演じている割合も増えてきているものと思われる。
という業界の内事情を知らない真耶は、
「これで舞台の上だけでも男子になれる!」
と思っていたのだが、その期待はものの見事に裏切られ、最初の仕事で渡されたのはパエリアの着ぐるみ一式。以来、真耶は一貫して女子役を演じ続けることとなる。
まあ、本人と周囲の希望は叶わなかったわけだが、ずっと女子を「演じて」来た真耶に女子着ぐるみ姿が似合わないはずがないどころか、近年稀に見る逸材とまで高い評価が、共演のキャストやスタッフによって与えられ、ぜひ続けるよう、強く説得された。
結局真耶は、学業に影響しない範囲なら、という条件でこのアルバイトを続けることにした。それはこれまでの面接では自分が女の子みたいな男の子であることを面白がられているのを感じていたが、ここでは真剣に真耶を演者として評価してくれたからだ。ここなら続けてもいい、男の子っぽくなるのは他で頑張ればいい、真耶はそう心を決めた。
6
真耶は部活動以外に打ち込めるものができて以来、楽しんでいた。そしてそのアルバイトはそのまま大学でも続いた。
今、真耶の髪型はショートボブ。高校時代はベリーショートだったが、それでも初対面の人に男子だと言われたことは一度もない。少しでも男子に見えるようにと思ってのことだったが、効き目が無いのであきらめた。むしろ真耶はロングヘアが好みなのだ。でも、
「これくらいの長さまでが、着ぐるみのときラクだから」
と言って、伸ばすのを途中でやめた。中学時代は誰もが羨むブロンドのロングだった。本当はその頃のようにしたいのだが、それを我慢してでもショーに情熱を傾けていた。
スイハンジャーショーの握手会が始まった。女の子に大人気なのは言うまでもなくピンク。握手どころか、抱きついて離れない子までいる。それでも真耶は無理に引き離そうとせず、優しくハグをし続ける。
ショーは通常一日二回行われる。だがそれでも、ショーが終わったあとに、
「間に合わなかったねー。道混んでたからねー。仕方ないねー」
そんな会話を交わす母娘の光景というのも時々見られる。当然娘の方は目に涙をためてムスッとしている。そんな場面に遭遇すると、真耶は脱ぎかけたマスクを再びかぶって、再びピンクとなって登場する。
「あーっ、ピンクだよー。ピンクちゃん、来てくれたよー」
母親の指差す方を見た瞬間女の子は飛び上がって喜ぶ。ピンクに駆け寄っていくと、ギュッと抱きしめる。真耶はしゃがんで待ち構え、しっかりと受け止め、優しく、それでいてしっかりとハグをする。しゃがむのは、目線を子どもと同じにしてきっちりと子どもをキャッチしないと危ないからだ。
そんな事情はつゆ知らず、ギュッと抱きしめられた子どもはもう天にも舞うような嬉しさ。ステージ脇のテントからは荷物の搬出が始まっている。それでも女の子はいつまでたっても離れようとせず、それを察した母親が離れるよう説得しても効果なし。もうすぐ引き揚げる時刻であることは真耶も分かっている。そこで真耶は自分の頬を女の子の顔の前にそっと差し出す。すると、
「ちゅ」
女の子が、ピンクの頬にキスをした。ピンクがゆっくりと抱きしめた両腕をゆるめる。女の子は
「ありがとう! またね!」
女の子は母親に手をつながれ、満面の笑顔で振り返りつつ帰っていった。これがなかなかピンクから離れようとしない子への必殺技、「ピンクにちゅー」。
「ちゅーさしてくれたら帰ってもいいよ!」
ある日のショーで、なかなかピンクのもとを離れようとしない子どもが、さんざん親とスタッフが説得した上に出した条件。もちろんまわりの大人一同は唖然としてしまったのだが、ピンクこと真耶は、覚悟を決めたかのように自分相手にうなずくと、そっと頬を差し出した。
最近はSNSで子どもとキャラクターのふれあいを公開する親も増えている。この一件はあっという間に電子の世界を通じて日本中に広まり、「帰りたくないときはピンクにちゅー」があちらこちらの会場で流行っている。
「…」
さすがの真耶も、これには未だに慣れない。マスクの中の顔は真っ赤になっていることだろう。
7
「そっかー、バイトまだ続けてるのかー。今年の特撮枠は当たりだもんね。特に今回のピンクは真耶じゃないと演じられないよ」
アニメ・特撮・ゲーム等々のオタクカルチャーに詳しい苗はそう評した。戦隊の中で男性と互角に活躍するというのが今までの五人組特撮の女性登場人物の特徴だった。だから女性のスーツアクターでも男勝りなアクションで観客を沸かす事が多い。
だがスイハンピンクは、まったく正反対のキャラクター。だからヒーローショーを運営している各社でもなかなか苦労しているらしい。特に女性のスーツアクターはなるべくパエリアやメルヘンショーの方に振らざるを得ないという事情もあり、真耶の存在は会社にとっても重要なのだ。
「あたしじゃなきゃっていうのは、ほめすぎだよ、恥ずかしい。でも、ピンクやってて楽しいのはホントだよ? あたしずっと歴代のピンクやってきたし、パエリアにも出たことあるけど、今まで演じてきた中で一番楽しい、スイハンピンクが」
苗は安心していた。真耶は自分を犠牲にして他人に尽くし「すぎる」ことがある。もちろんひとが喜んでくれるのが真耶は嬉しいのだということも知っている。だから、自分も演技を楽しめて同時に子どもたちを喜ばせる事ができるショーのお仕事は真耶にぴったりだと思っていた。
「ピンポーン」
そんな、なごみのひとときに突然呼び鈴が鳴った。苗が駆け寄ったインターホンの画面越しには、仮装した何人もの子ども。
「トリック・オア・トリート!」
その元気な声は、離れたところに座っていた真耶の耳にまで届いてきた。苗が応酬する。
「おう来たな化け物ども。今開けるから上がってきて、もう一度玄関でそのセリフ言ってみろ!」
その、この日はハロウィン。木花村には子どもたちが仮装してご近所を巡ってはお菓子をねだるという、昔ながらのアメリカンスタイルが残っている。パレードもやるけど、しばしばその列はお菓子ねだりのために崩壊する。
そして苗は、根っからの子ども好き、というか自分が子どもの心を忘れていないというか。村に住んでいた頃からペンションの客の子どもや、観光や別荘への避暑でやってきた都会の子どもとすぐ仲良くなっては遊んでいた。その趣味は東京に来てからも変わらず、近所の子どもたちと即友達になった。そして秋になった今、本場のハロウィンスタイルを彼女ら彼らに仕込み、待ち構えていたのだ。
「真耶も懐かしいべ? これ」
苗が今日、家に真耶を招いたのはこのためでもあった。昔みんなでやったハロウィンも、今度はねだられる側に回る年齢になった二人。もっとも真耶はそのことを知らされていなかったので、まさにサプライズ。
「懐かしい! 面白そう! あっ、来たかな?」
真耶が言うとほぼ同時、今度は玄関の呼び鈴が鳴り、ドアを開けると様々な姿に変身した子どもたちが集合していた。
「さあ、さっきのセリフ、もう一度言ってみ?」
苗がにやりとしながら子どもたちに話しかける。そのときには真耶も玄関先にいて、わくわくしながら待っている。
「このお姉さん、だれ?」
「オイラの彼氏」
「うっそだー、苗ねーちゃんみたいなおてんば、男にモテるわけないもーん」
「ツッコミどころそこじゃないだろ? お姉さんだから彼氏にはなんないよ」
完全に真耶を女子だと信じているところはともかくとして。真耶もこの遊びに乗ることにした。
「あたしは、苗ちゃんのカノジョ」
それでなんとなくみんな納得してしまうのが真耶のすごいところだ。
「それよりもさ、あたしにもさっきの言葉、聞かせて?」
子どもたちは我に返り、ここに来た目的を思い出した。そして一斉に、
「トリック・オア・トリート! お菓子をくれなきゃ、イタズラするぞー!」
すると、苗はニヤリとした。真耶は知っている。この顔は苗が悪巧みを考えているときの顔だ。
「きゃー、こわーい。そ、それじゃあ、お菓子をー」
期待に胸を膨らませ、目をキラキラさせて次の言葉を待つ子どもたち。しかし、
「あーげない! イタズラできるもんならしてみろってんだ」
真耶は苦笑するしかなかった。苗だったらそれくらいのことは言うだろうと思いつつ。でも、
「なーんて冗談。ほれ、好きなだけ持ってきな!」
と、お菓子を差し出すものだと思っていた。しかし。
「本当にくれないの?」
子どもの問いに、苗は答えた。
「くれない。だからさあ、してみろってば、できるもんなら。イタズラ」
くれる、というのは群馬の山間部などの方言で、あげる、という意味。つまり、苗はお菓子をあげない、と言っているわけで。ところが子どもたちはがっかりするかと思いきや、
「そっかー、イタズラしていいのかー」
「苗お姉ちゃんは年上だから礼儀正しく遊んでね、ってママに言われてるけど、本人がいいって言ってるんだもんねー」
「決まりだな」
ニヤリとした子どもたちが一斉に叫ぶ。
「いっけー!」
あっという間に苗と真耶は羽交い締めにされ、
「こちょこちょこちょ」
子どもたちのくすぐり攻撃にさらされた。二人はなす術もなくただただ笑い転げるのだが、苗はまだ少し余裕がある様子。それを子どもたちは見逃さなかった。
「おーい、こっちの姉ちゃんの方がくすぐったがりだぜ。ちょっとこっち人多めにしようぜ」
「きゃ、きゃはは、やめ、きゃは、ごめんなさ、わきゃきゃきゃきゃっ」
ひたすら笑う真耶。苗も涙目になるほどに大笑いしているが、
「ま、まだまだ…にゃは、にゃははははっ」
といった具合に、なかなかゴメンとは口にしない。ひたすら子どもたちのなすがままにされる数分間、ようやく苗の口から、
「ま、参った、っははははっ!」
という言葉が出てきた。子どもたちはくすぐりと羽交い締めをやめ、勝利のハイタッチを交わす。真耶はへたりと床に座り込んだ。苗もフラフラしながら、
「わ、わかった。待っとけちょっと、お菓子くれるから」
苗が玄関の中に消えた。あ、この最上階、苗の部屋しかないので近所迷惑にはならないのでご安心を。そしてそれほど待つまでもなく綺麗にラッピングされたお菓子の入った袋がやってきた。
「ほれ。持ってきな。味わって食えよ。あとゴミ外に捨てんなよ」
「はーい。ありがとーございましたー」
子どもたちは狂喜乱舞しながら、お菓子を抱えて帰っていった。
嵐が去っていったかのようなマンションの廊下には、依然として真耶が座り込んでいる。その真耶の横に苗がしゃがみ込み、
「懐かしかったろ? 最近東京のハロウィンは変な方向行ってるからさ、せめて彼らには清く正しく楽しいスタイルを仕込んでやったわけよ。来年からは町内会とかでもやるかもな、みんな親に話すだろうから」
「…で、でも苗ちゃん、まさかお菓子あげるの断るとは思わなかったよ…」
「いやー、あげる側になるの初めてだったからさ、もし断ったらどうなるかなって思って。くすぐりとは参ったね」
困ったように見せかけて、苗の顔は満足そう。実は結果的に一番イタズラしたのは、何も言わずに真耶を家に招いてくすぐりの刑に処した苗かもしれない。
それはそうと、真耶がいつまでたっても立とうとしない。
「ん? どした? 抜けた? 腰でも」
「う、ううん、そうじゃないけど…」
真耶が顔を赤くして言った。
「ジュース、いっぱい飲んだでしょ? そういうときは早めにおトイレ行っとくもんだね。苗ちゃん…悪いけど、ぱんつ貸してもらっていい?」
8
ともかくも、真耶は東京での生活を女子としてエンジョイする覚悟を決めていた。男だから男らしく、なんてばかばかしい、と。
でも、そう悟るまでにはいろいろな出来事があったのだった。
宗教観の相違? 第一話
実は『宗教上の理由』シリーズの時間軸は、基本現実とリンクしています。だから物語のなかで大学一年生の真耶は一九九八年生まれ。まあ作者の遅筆ゆえに高校時代がごっそり抜けてしまったのはひどい後悔でした。
いっそ現実とのリンクを切って高校生編を書こうかとも思ったのですが、自分に課した約束事を簡単に捨てる踏ん切りもつかないので、しばらくは大学生の真耶が回想として高校生時代を思い出す、的な構成になると思います。気に入りましたら、『宗教上の理由』ともども一読いただければ幸いです。
なお、今回のタイトルは神道の家に生まれた真耶がキリスト教系の大学に進んだということからつけています。特に宗教的な深い対立とかあるわけではありませんのでご安心を。また、作中でチアダンスをやっている男子はいない、という旨の描写がありますが、もし違う、ということでしたらご指摘いただければ幸いです。