悟りの鳴夏

伝えたい言葉など
いつか忘れていくだろう
今 どんなに想っていたって先は長い
机の引き出しに仕舞っていた宝物など
いつかポロポロとはみ出ていくだろう
今 こう想っていたっていつか違うことを想う

何年か後 そのままのものは
ほとんど無いだろう
皆 何かに影響されて形を変える
ポケットに仕舞っていたビスケットなど
いつか粉々に崩れてしまうだろう
今 こんなことを綴ったっていつか矛盾を詩に綴る

何故 両親は僕に生きてと言うのだろう
今 思い描かれた僕になっているだろうか
何故 人間は人生を悠々と生きるのだろう
いつ 自分が死んでしまうかなんて分からないのに

青い風は僕を超えて
次は誰の元へ吹くだろう
今 そう考えていたってきっと意味は無い
一生を意識して絡んでいた人達など
いつかスタスタと走り去っていくだろう
今 順風満帆だっていつか地獄を味を知る

何年か後 好きなあの娘は
絶対変わっているだろう
皆 若いうちはそうやって愛を知る
大切に使わないでいた道具など
いつか突然に風化していくだろう
今 一つしか見えなくてもいつか全てを知る

何故 君は終わりを迎えてしまうのだろう
今 死後の世界で君は僕を見ているだろうか
何故 君はいずれ死ぬのに笑っていたのだろう
いつ 君の存在が消えてしまうなんて分からないのに

きっと答えは無い
もしもアナタが僕の疑問に答えを持つのなら
それは僕と同じ偏見だ
いいや 偏見という名の考えだ
僕が悟りを開き
この詩にして地球上に残したのと同じだ
だから答えなど要らない
そもそも 疑問に解答など無いんだ
これで完成しているから
安心してアナタはアナタの人生を生きるように
僕が僕らしく人生を生きたように

悟りの鳴夏

悟りの鳴夏

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-11-10

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