疎外のエンコード

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誰かは、思い留めただろうか、薄霧の通りから消えていったあのひとの靴音を



朝が吹き出され 

夜が収縮する

彼や彼女やあのひとの生きる正しさが更新される

そんなフィルム



あなたはあなた自身の映画を観ましたか

フィルムを拾いましたか

地下鉄の排気口から

生地の古びたトルソから

故意に落とされた紙切れの文字から



街は ひとを忘れながら

ひとは 映画を背負う




わたしたちは

いつか互いのフィルムを落としてしまうのでしょうか

街は 

ひとと、ひととが、懐かしみ合いながら

ひとと、ひととが、終わりゆく場所なのでしょうか




誰かは、もう一度拾うだろうか、夕刻の人溜まりにあのひとが置いていった射影を。
   



   



   

  



   



   

疎外のエンコード

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疎外のエンコード

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-11-05

Copyrighted
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