疎外のエンコード
誰かは、思い留めただろうか、薄霧の通りから消えていったあのひとの靴音を
朝が吹き出され
夜が収縮する
彼や彼女やあのひとの生きる正しさが更新される
そんなフィルム
あなたはあなた自身の映画を観ましたか
フィルムを拾いましたか
地下鉄の排気口から
生地の古びたトルソから
故意に落とされた紙切れの文字から
街は ひとを忘れながら
ひとは 映画を背負う
わたしたちは
いつか互いのフィルムを落としてしまうのでしょうか
街は
ひとと、ひととが、懐かしみ合いながら
ひとと、ひととが、終わりゆく場所なのでしょうか
誰かは、もう一度拾うだろうか、夕刻の人溜まりにあのひとが置いていった射影を。
疎外のエンコード
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