妹に恋をするのはいけないだろうか?

木の葉

高校に入り、親が再婚して妹が出来た。
「颯汰、お前の妹になるんだぞ」
父さんはそう言い、義母は俺に「この子をよろしくね」と言った。
俺は兄らしく振舞おうと決めていた
「初めまして、お、お兄ちゃん...!」
はずだった...。不覚にも一目惚れしてしまったのだ。こんなに可愛い妹がいてもいいのか...
心の中でボソッと呟いたつもりだが、口に出ていたのかもしれない。
それ以来、妹は口を聞いてくれなくなった。

あれから2ヶ月の月日が経った。窓から射す光で目が覚め今日も1日が始まる。
両親は海外を拠点にして働いてるため、家に帰って来るのは数日だろう。
これからどうしようか...。
妹とは2人で暮らしているが、出会って2ヶ月一切の会話はなかった。
話しかけることはあるが、返事が返ってこないのだ。2ヶ月の間色々努力はしてみた...長くなるのでこれは後で話すとしよう。
そして今日もいつもと何ら変わらぬ日常が始まるはずだった。
隣で扉が開く音がした。妹も部屋を出たところだった。
「おはよ......お兄ちゃん...」
とても自然に妹は言った。
「あぁ、おはよっ!?」
何かおかしい...妹が話しかけてきた?!
「はっ!」
一瞬フリーズしていたようだ。
我に返った俺には嬉しさと困惑の波が襲いかかっている所だった。
「り、凛...?」と呼んでみたが横を見るともう既に妹の姿はなく、考えてる間に、下に降りていったらしい。
「......居ない...か」
あのフリーズ中のマヌケ顔を見られなくて良かったと心の中で思いつつ
「あの時フリーズしなければ…...」
惜しいことをした気がした。
下に行って真相を確かめようとしたがそれ以降は以前と変わらず、話しかけても返答は返って来なかった。
「なぁ凛、さっきのって」
「...............」
「デスよね...」
妹は何も言わず、そそくさと学校に言ってしまった。
「...でもこれは1歩前進だ!」
俺は前向きに捉えることにした
会話すらしてはくれないが、毎日朝ごはん弁当は作ってくれるので嫌われてはいないのな...?
俺も妹が作ってくれた弁当を持って学校へ登校した。

ー俺は柊ノ木 颯汰 高校 1年 義妹に恋をしているが思いを伝えられずにいるー

ー妹は柊ノ木 凛 中学 2年 よくゲームをしているようだー
通っている霧ヶ丘高校は中高一貫校でせっかく同じ所に通っているのだから、一緒に登校したい...とも思うが、会話すらままならないなら仕方ないだろう。

「よっ!颯汰今日は早いな。なんかいい事でもあったか?」
そう話しかけてきたのは友達の舘松雄也、中学時代から仲がいい。俺を見るなり直ぐに話しかけてくるほど人懐っこい性格だが、性格がいいとはお世辞にも言えない。そして勘が鋭すぎる。
「聞いてくれ!今日初めて凛が返事をしてくれたんだ!」
その時、俺は客観性を失っていたのかもしれない。
「お、おぅ良かったな…颯汰。なぁお前ってシスコンだったのか?」
そう痛いヤツを見るような目でコソッと言ってきた。
「ち、ちがう!凛の事は好きだがシスコンでは無い!断固として違う!」
俺は慌てながらも必死に否定した...妹だけど義理の妹だからシスコンでは無い...はず?
だがその努力も虚しく既に手遅れであった。
「いや、それをシスコンって言うんだよ笑
まぁみんなには内緒にしといてやるよ!」
雄也はニヤニヤしながら、そう言って自分の席に着いた。
「だから違うってば!!」
もうシスコンか否かはもう関係ないのだろう。正直嫌な予感しかしないが、今日は気分がいいので良しとしよう。

朝のHRが始まり、担任の先生が言い放った言葉にクラスが湧いた。
「このクラスに今日から転校生が来ている。男子諸君、喜べかなりの美少女だ。入って来ていいぞ。」
この時期ともあるが、霧が丘高校は中高一貫なので転校生自体が珍しい。
入ってきたのは正しく美少女であった。髪が胸あたりまであり、制服のスカートから覗く脚は遠目でも肌のきめ細かさがわかる程白く、顔もそこらの女子とは比べ物にならないほど整っていて一国の王女を連想させる程だった。まぁ凛程ではないが...。これは口では言えないな。
「初めまして、私は初鹿野 瑠里と言います。
この時期の転校は不安もありますが、皆さんと仲良くできれば光栄です。」
律儀で性格までお嬢様なのか...
「イギリスと日本のハーフですが日本語には問題ないので気軽に話しかけてくれると嬉しいです」
「はい!はいっ!質問いいですか??」
クラスの大半が転校生、初鹿野に興味津々で質問の雨が降りかかるとこだった。
「はーい、質問とかは放課にやってくれ~」
そう先生の呼びかけにみんなも賛成のようだ。
「じゃあ、颯汰の隣空いてるからそこに座ってくれ」
一瞬でクラスの男子から刺さるような視線が飛んできた。視線が痛い...。初鹿野はそんなことは気にせず
「よろしくね!」
と気さくに声をかけてきた
「よ、よろしく!」
こんな可愛い女子に話しかけられて緊張しない男子がいるのか、、そう正当化しようとしている自分がいた。
1限目が終わり放課になると初鹿野の周りにクラスのやつらが取り囲むように集まっていた。
「た、大変だなぁ...」
初鹿野はみんなからの質問攻めに一つ一つ答えていた。
「おい、颯汰。お前羨ましすぎるぞー!なぁ席変わってくんね?」
雄也は冗談じみた声で俺を茶化してきた。
「代われるもんなら、代わりたいって!」
勿論、初鹿野の隣が嫌な訳では無い。
「あ、颯汰くんだっけ?私の隣...嫌だったかな?」
初鹿野が悲しそうに聞いてきた
「い、いやそーいう事ではないんだ。誤解させてごめん。」
雄也は腹を抱えて笑っていた。
「お前どっちかハッキリしろよ~。はは、おもしれぇ」
去り際に雄也は耳元で
「あんな視線が飛んでくるこの席はゴメンだよ」
と言い自分の席に着いた。
ーあ、あいつやっぱりわざとだぁぁ!
心の中で思いつつ言い返せずにいた。
その後は、先生から隣だからという理由で学校の案内役を指名された...。
最初はクラスで挙手制だったのだが、人数が多すぎて全く決まらなかったからでもある。

放課後になり初鹿野に校舎案内をしていた。
「ここが音楽室で、あそこが多目的室。これで一応全部の教室だよ。」
「ありがとう颯汰くん!迷惑じゃなかった?」
霧が丘高校は敷地面積は広いが教室の数は一般的なので案内にはさほど苦労はしない。
「いや、迷惑なんて。むしろ君みたいな子と話せて光栄だよ。」
お世辞ではなく実際案内役を男子みんなが取り合ったレベルだ。
「ふふ、お世辞でも嬉しいよ。ありがとう」
教室に戻ると、ふと時計が目に入った。
「何か大事なことを忘れているような...あぁっ!!」
今日が夕飯の当番だった事を思い出した。
料理は全く出来なかったが、特訓のおかげで何とか夕食を作れるくらいにはなったのだ。
「は、はやく帰らないとっ!」
学校から家までは約3km
その距離を必死になって走った。

が、遅かった。家に帰ると既に凛は帰宅しており、俺の代わりに夕食の準備をしていた。匂いからして今日はカレーだろう...
「ただいまー...まぁこんなもんか。」
朝の事があったので淡い期待をしたが、そんなことはなかった。
「当番忘れてた事怒ってるだろうか...」
恐る恐る顔を見ると、そうでも無さそうだいつも通りテキパキ料理をしていた。
凛は料理が得意で、中学生とは思えない腕前なのだ。
「り、凛さん?ごめんすっかり忘れてて。」
凛は頷くだけで何も言ってはこなかった
夕食を済ませお風呂に入ろうとした時のことだ。
「お、お兄ちゃん...」
凛が突然話しかけてきたのだ
「り、凛?!どうした?」凛から話しかけてくるなんてよっぽど何かあったのか、今日は一体何なんだ、はっ!やっぱり当番忘れたの怒っているのか!!など思っていると
「今日...!女の人といたけど......誰?」
急に何を聞いてくるのかと思えば、思ってもいない事を聞いてきた。
「み、見てたのか!?あれは今日来た転校生だよ...?」
戸惑いながらも、本当の事を言った。ただ聞かれただけなのにかなり緊張する。
「......そっか。.........よかっ...。」
素っ気ない反応の後、何かを言ったようだがよく聞き取れなかった。
「最後なんて言ったの??」
凛の頬は赤くなっており首だけを横に振って部屋に駆け上がっていった。
そもそも中学の凛がなぜ高校のことを...不思議には思ったが追求はしなかった。
「なんだってんだ...」
初めて凛と話す喜びに弾けそうになるのを抑えた。
こうして長い1日が終わった。

妹に恋をするのはいけないだろうか?

妹に恋をするのはいけないだろうか?

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 青年向け
更新日
登録日
2018-11-01

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