暗闇の中、無機物を手に

世界はストレス臭で汚染されている

ガスマスクを付けなきゃ生きていけない

今日も車内に充満した人熱が

僕らの肌を抱きしめて汚した













疲労のガス室で誰かが崩れ落ちた

          (逆かもしれない)

そのせいで誰かが被害を受けた

          (明日は君かもしれない)

その連鎖が社会をガス室に変えている













他人との繋がりがどこへでも持ち込めるようになった

そのせいでどこでも他人に縛られるようになった

パーソナルスペースなんてない

自我境界は溶けてなくなったから












全人類はいつでもその視線を小さな箱に

あらゆるものが詰められた小さな箱に

  スマホ  という小さな箱に向けている

下を向いたまま歩いている

何かに乗っている時でもね

おかげで事故は増えたし空の美しさにも気付かない





見上げればこんなに綺麗な夜空が

死人の僕らを見下しているのに

暗闇の中、無機物を手に

暗闇の中、無機物を手に

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-10-28

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