おにぎり


彼の好きなものは、おにぎりだという。
なによりもそれが好きらしい

どんなときでも
幼いときから、おにぎりは彼の側にいた

海苔のない 薄味のおにぎりは
もう会うことのできない母の愛だった


母にもらった細いこの指では
あのおにぎりは、握れない。


おにぎりが食べたい…



あの手で握られた、海苔のないおにぎりを
願わくば



母と一緒に、テーブルで食べたい。

おにぎり

おにぎり

  • 自由詩
  • 掌編
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-10-01

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