アンドロイドビルドアップビル

 近頃技術の発展により、たくさんの機械がつくられ、スマートフォン、PC、端末は小型化し、家電やお掃除ロボットや超小型飛行ロボットまで作られ、徐々に精密化して発展している、科学雑誌では人工筋肉のようなものが特集されているのを見た。こんな風に今でもすでに文明は発達しているが、今よりさらに進んだ未来の地球の話をする、そのころの地球は、今よりも技術や化学、文明は発達しきって人間も自然な不老をてにいれ、人間だけではなく、アンドロイドたちも人間のように、娯楽や日々の仕事を持ち、それなりの発展した社会の恩恵を得られるようになっている。
 ただ、人間と共生の可能性を探るため、一定の法律や倫理観があり、その解釈では、そのアンドロイドたちの能力を抑制しなければ、人間にも明るい未来はないと考えられている。

 そのころの人間の権力は、世界でたった一つに固定され、合理化されていた、それが戦争ばかりしてきた歴史のある人類の最終手段。
生活のほとんどは、人類より高等な、それでいてシステムの程度を抑制されたAIが担う事になっている。
 人間はもちろんのことアンドロイドたちもその合理化された、スフィア、とよばれるAIの統治による世界政府の影響下にある。

 そこで、私の未来の知り合いであるスフィア政府の許可のもと、アンドロイドたちがどのような生活をして、娯楽に興じているのか、アンドロイド技術、世界政府公認広報のALC、エージェントBORの報告をまとめてあるので、ここで公表する。私は特殊な方法で異次元の別時間に接触することができるが、別次元なので、未来を公表することに大した問題やパラドクスは発生しないので安心してもらいたい。

 エージェントBORは、3か月ほど前からある施設を見張っていた。それはスフィア——世界支配のAI統治政府——の許可のもと、アンドロイドたちのために作られ、与えられているアンドロイドのためだけの娯楽施設。
 
 アンドロイドたちにも気分の上がり下がりや、多少の感情の起伏はあって、それも、人間と同じように、生きていく上で必要な事だ。それは複雑な思考を必要とすればするほど、むしろ精密になっている。それはたとえば、冒頭でいったような、小型化する機械を考えてもらえるとわかるだろう、精密になればなるほど、もろさややわさというものも当然かかわってくる。
 
 そこで、さる街、その大きなタワーマンションのような施設の前で、アンドロイドたちの様子をみていたエージェントは、その彼等の浮き沈みが、そのビルにはいったあと、まるで打って変わって爽快な印象に変っている事にきがついた。いわゆるアンドロイドたちは、その施設に入り、小一時間ほどしたあと、何らかのメンテナンスをうけ、だれもかれもピカピカした瞳で、きらきらのてかてかで帰ってくる。
 それもそのはず、アンドロイドたちはその施設、ビルドアップ施設ともよばれる施設にて、彼等の基準となる、彼等の基本ステータスにプラスして、強制的に才能や能力をビルドアップをすることができる、基礎的な能力をあげるとともに、自分で選択した技能をあげることができるのだ。たとえば、基本的なステータスである学習能力や運動能力は当然として、そのほかに、人間でいうのなら、それは才能だとか、絵を描く事、踊る事、自分の好みにチューニングできる。ただ、リスクとして、すぐに飽きてしまうことがあげられる、これはこの文化に強制的に感じられる飽きではある。彼等は故障したら部品を取り換える事ができるが、チーンアップ自体は、ある程度平均値まで法律でさだめられている、ビルドアップは、嗜好品のような感じで、期間をださめた一時的なチューンアップのための娯楽なのだ。

 エージェントBORは、それらのアンドロイドの生活の一部をのぞきみて、やがてスフィア政府に人間の身から見た様子を報告する義務をおっていたが、施設に通うそのアンドロイドたちの様子があまりに自然で、それぞれに日頃のストレス、不満や、不幸な事などをすべてそこですっきり洗い流すように通い詰めている様子をみて、これはアンドロイドたちの新しい文化だと認めるに至った。

 エージェントBORは任務外で、100年ほどいきたアンドロイドの女性に話をきくことができたが、そのアンドロイド本人に尋ねると、ビルドアップは、何も才能のないアンドロイドが、一定期間得意な何かを手にする事ができる、それは自己肯定感を刺激し、人間の持つ文化でいう、何かに恋をするようなことだといった、その感覚には少しわかりずらいようなところもあるが、なかなか面白い感想だとエージェントは感じたという。

アンドロイドビルドアップビル

アンドロイドビルドアップビル

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-10-24

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