魔法使いの魔法

我々魔法使いにとって、世界は誰かの見た記憶だ、それだけじゃない、この世界のすべての人間がみた夢のようなものだ。記憶をつかさどることができるものは魔術を使うことができる、魔法は知識を使っているにすぎない、魔法は魔法使いの間の知識を魔法使いの間で共有し、いつでも再現可能にしたもの、それらはすべての規律にして法。魔とよぶもののは、その冷淡な事実を恐れている、魔術をうまく扱えないものは、魔術に対する理解が浅い、浅いものはどんな技術であれ、反動がある、人を呪わば穴二つ、だとか、力量が低いものが使う言葉だ。そのためうまく魔法をうまく使えず、その深淵の知識を悪くうけとり、魔と呼ぶ。

 魔法使いたちは、魔をよびさますのではなく、記憶を呼び覚ます、術式は簡略的に記憶を呼び覚ます術、幻覚のようなもの。ひとつためしてみるといい、目の前にひとさしゆびで“の”の字を書く。そのその“の”が青くなったり、赤くなったりするイメージをする。徐々にそれが4台精霊のつかさどるエネルギーに変ってみえるようになるだろう、あとは知識の補完、あらゆる知識、知恵を手に入れてそのプロセスを全て脳内でイメージすることができるようになれば、すべてのものごとのからくりがとける、たとえばあなたの目の前にあるシャープペンシルの芯を、手を使わずに抜き取ることもできる。
 
 タネは簡単だ、人にそれをやらせばいい、自分の口と騙しのテクニックをつかって、自分は最小限の力で彼をだますだけでいい、つまり魔術は暗示だ、時に自己暗示で、人にかけるときは、洗脳というかもしれない、そう、魔法使いの魔法の謎はすべてこれに凝縮している。

 でも本当に強力な魔術は、魔法使いにも恐ろしく、魔法使いでさえ確実に代償が必要になる、それは人間の限界を超えるものだからだ、だけどその魔法の効果も、存在も、知られることはない、魔法使いが人に知られるようにする魔法も、このように魔法を暗示といいきることも、全て、本当の魔法を隠すための智慧、と言えるかもしれない。

魔法使いの魔法

魔法使いの魔法

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-10-23

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