「迷路」
「迷路」
未来は明るい居場所であれと
夢見る朝 わたし 不安を喰べる
焦りを呑み込み どこへゆけばいい?
はだしのままいきる 時は止まることない
まええすすむ ってことば
「当たり前だ!」と だれかが吠えた
出来損ないには おこぼれの勇気
漁るように生きろって 論外
虫酸がはしるの 勇気もないの
目を開いた世界は 迷路だ
たゆたう人々は影だ 光はないのに
消えてゆく影の痛みが 胸を突き破る
不器用者の重みで 閉ざされる 迷路
もう見たくないよ なにも
うそつきたちの壁も
抜け出せない未熟さも 醜い世界も
やさしさと生きると信じた。
おおきな かんちがいだ
「捨ててしまえ!」だなんて
蝕むあの声は 誰?
夢見た夜 わたし しあわせの夢を
ひと ひと 愛し合って やさしい世界の夢
ことばをもつ意味を 語り合っていた
目覚めたとき知る その夢こそが 嘘だ
「だれかよりもナニができる」
比べ合うことにしか 興味ないの?
恥ずかしさ ずるさ 嘘で隠して
嘘でまみれて ずいぶん汚れて
汚した地面にうつむきながら
汚れたこころで歩いて行くのに
「まええすすめ」なんて 言わせないよ
やさしさ愛をすてた あんたたちに
醜さに染まる 人間なんて!
目を開いた世界は 迷路で
立ち止まる音聞こえた
時は 止まらないのに
「目を瞑ったままで いいよ
時計は ぼくが 隠しておくから
ただ風の聲を聴いて その痛みたちを
ぜんぶ 手離してみてごらん」
愛しい声 何処かで 会えるかな?
ちがう!この声はそうだ、嘘の夢の声
目を開いた世界は 迷路だ
迷い込んだんじゃない
はじめから この世界は 迷路
ひとと ひとの 壁の めいろ
「迷路」