不知森

いつになれば
この森を抜け出せる
食料はゼロだから
力が尽きないように
ゆっくり歩いてる

お父さん
お母さん
何処から居なくなったの
初めは確かに
二人の手に繋がれていた

それはまるで
神様から無差別に
与えられた試練
音をあげたら
殺されそうで
堪えるけど
段々と
辺りは暗くなり
心臓が高鳴る

いくつになれば
この森を抜け出せる
人影も見えなくて
謎の生き物は僕から
隠れて物音を立てる

お爺さん
お婆さん
如何して死んでしまったの
理由を告げずに
ある日突然消えてしまった

それはまるで
帝国から無造作に
送られた赤紙
何かを呪ったら
呪われそうで
耐えるけど
次第に
視界は暗くなり
体内は脈打つ

そのまま
じっと
そのまま

不知森

不知森

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-10-20

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