人狼ジャッジメント~病院パロ~

なりきり部屋でやったパロを俺目線で書いてみたものです。
言葉の変なところもあるかもしれないですが大目に見てくださいw

マイク視点


マイク「今日からこちらに移動になりました。よろしくお願いします。」

俺は元々都会の大きな病院に勤務していた。
転勤と言われたのは1ヶ月のこと。転勤先は
病院としての設備はピカイチだが小さな病院だった。元々住んでいた所から通うのはあまりにも遠すぎたため、病院近くのアパートを借りた。挨拶が終われば医院長であるエリック先生が優しく出迎えてくれた。

エリック「今日からよろしくお願いしますね」
マイク「はい。お願いします。」
エリック「元気出しなさい?アダルトビデオでも見ます?」
マイク「…は?」

この瞬間から敬語は使っていない。
エリック先生も俺のが歳上だぞとは言っていたが気にはしていなそうだった。

エリック「分からないことは看護師の彼女に聞きなさい。ローラお願いしますね」
ローラ「はい!勿論です!マイク先生よろしくお願いしますっ!」

可愛い。今まで女性に興味無かったが彼女のことをもっと知りたいと思った

マイク「よろしく。」
ローラ「どうして転勤に?」
マイク「あ…それは…」

院長の息子のミスで亡くなられた人がいたにも関わらずそのミスを無かったことにしようとしたことを問い詰めて追い出されたとは言えない

マイク「んー、こっちのが落ち着く。」
ローラ「ええ!?それだけで??」
マイク「ああ。」

咄嗟に嘘をついた。ホントのことを知ってるのはエリックのみ。でも俺は決して悪い事をしたなんて思ってもいない。むしろ息子なんてダメ医者だ。向こうの病院でほとんど手術などしていたのは俺だ。
まぁそんなこと今となってはどうでもいい。
ここでやっていく。そう決めた。

ローラ「さっきお願いした○○さんのカルテなんですが…」
マイク「あーこれか?こことここがちょっと違う。んで、こうだ。」
ローラ「え、あ、ありがとうございますっ!そうです!これを今伝えようと!なんでわかったんですか?」
マイク「まだ短い期間だが医者やってるからな。そんくらい分かる。」

反応可愛すぎんだよ。いじめたくなる。反則。
俺と彼女との話はまた後で。



ここに勤務して早2年が過ぎた。
エリック「今日から研修医が4名来ます。マイクお互い頑張りましょう」
マイク「おう。」

どんな奴が来るのかと渡された資料をペラペラめくる。学歴は皆同じくらいだ。

「「「「失礼します」」」」
エリック「今日からよろしくお願いします」
マイク「よろしくな。」
エリック「そうですね、早速カルテ入力お願いします。分からないことはマイク先生に聞いてくださいね」

1人の研修医の舌打ちらしいものが聞こえた気がしたが、研修医達にはまずはカルテ入力をしてもらうことになっている。

マイク「まずここに8枚のカルテがある。1人2枚ずつ入力してくれ。入力の方法は…」
研修医1「言われなくてもわかります(笑)俺ら元々別なところでやらされてたので~」
マイク「なら分からないところがあれば聞いてくれ。」
「「「は~い(笑)」」」
ロディ「マイク先生、このカルテのこのなんですけど…」
マイク「どうした?」
ロディ「この人の病状はあまり良くないのに強い薬などは出さないんですか?」
マイク「いい質問だな。ここを見てみろ。この患者さんは薬を飲むと発作を起こしてしまうんだ。だから基本は点滴なんだ。」
ロディ「そんな患者さんがいるんですね!勉強になります!」

研修医の中で唯一しっかりしていたのが、ロディだった。色々教えてあげると目をきらきらさせて喜んでいた。

プルルル…プルルル…

いきなり緊急患者がこちらに送られてくるという電話がかかってきた。すぐに受け入れ態勢をとる。

マイク「ロディ!今すぐ準備しろ。お前に見てもらう。他の病院でもやってきてるなら分かるよな?」
ロディ「はい!」
マイク「エリック先生よろしくお願いします」
エリック「はい。ロディさん行きますよ!」

ロディの顔は緊張していた。他の病院で研修していたと言えどさすがに研修1日目で患者を任すのは間違っていたかもしれない。
案の定、ロディはどうしていいか分からずほとんどエリックがやったのを見ていたらしい。

エリック「ロディ。患者さんに次はないんだ次同じような患者さんが来たらこの手順でできるように頑張りましょう。あとはお任せしますよ。分からないことは聞いてくださいね。」
ロディ「はい。ありがとうございました
次は頑張ります。」

この時運ばれてきた子はアンナという名前で、
肺炎にかかっていた。この年の女の子だ。
肺炎にかかっていながらじっとできず走り回ってよく怒られる。苦いお薬飲みたいのか?と言うと大人しくなる。よっぽど薬が苦手らしい。
ロディは毎日アンナの対応にクタクタになっていた。

ロディ「エリック先生ー。マイク先生ー。どうしたら大人しくなってくれますかー(泣)」
エリック「頑張ってくださいね、ロディ(笑)」

ほかの研修医達はよっぽどロディが羨ましかったらしい。そりゃ患者を任されているんだから当然か。ただ、任せられない理由があることに本人達は気がついているのだろうか…。
にしてもここは居心地いい。前のところは
俺が医院長の息子に噛み付いたとよくわからない噂がたっていて転勤が決まった1ヶ月間は
死ぬほど辛かった。でかい病院なくせに患者さんよりも病院の営業成績を気にする最低なところだった。そもそも転勤をお願いしようとしていたしいいタイミングだったかもしれない。
風の噂だが、俺がいなくなってから右肩下がりらしい。自業自得だ。


ある日明日手術する患者さんのカルテを見ているとエリックに声をかけられた

エリック「マイク。怖い顔してどうしました?」
マイク「これなんだが、確かにここを切り取ればいいかもしれないが、転移していたらどうする?エリックなら、こんな時どうする?」

「イキリ」
「先輩に敬語も使えねぇのかよ」
「俺知ってるぜ。前の病院で医院長の息子に噛み付いて追い出されたんだろ(笑)」
「そんなやつに教わりたくないんだけど」

まじかぁ。ここまでそんな噂が。
多分俺は今相当曇った顔をしてると思う。

マイク「エリック、また後で。」

「まだ敬語使わねぇの?(笑)」
「ここの病院の価値が知れるね。」

言いたい放題言ってるみたいだ。
研修医達の態度は決していいものではなかったがそろそろ俺も堪忍袋の緒が切れそうだ。

マイク「おい。お前ら……」
エリック「いい加減にしなさい!自分達のことは棚に上げて何様ですか?私知ってるんですよ?あなた達の秘密。なら、ここでバラしてあげましょう。」
マイク「エリック!おい、エリック大丈夫だから。」
エリック「私が大丈夫じゃないです。好き勝手言い過ぎです。何があったのかも知らないで噂を信じてるんですよ彼らは。マイクに技術何も及ばないくせに」
マイク「大丈夫だから。」

エリックは止めてもやめなかった。
3人の研修医達にはそれぞれ他人の論文の丸パクリや、患者への過度なボディータッチ、
薬物の売買をしてるということをエリックは気づき警察を呼んでいたらしい。
戻ってきたエリックの顔はどこかスッキリしていたように感じた。そんなエリックを俺、ローラ、ロディで出迎えた。ロディに関してはすげぇびっくりした顔してたよ。

マイク「エリック…ありがとう。」
ローラ「エリック先生やりすぎですよ」
エリック「ちょっと許せなくてね、私はちょっと呼ばれているので…(笑)」

エリック先生は副院長にこっぴどく叱られたらしい。それでも笑いながら帰ってきたエリックに俺は笑い返すことしか出来なかった。
夜俺はエリックに呼び出された。

エリック「マイク。何があったのか詳しいことは分かりません。ただ、先程転勤前の病院から戻ってきて欲しいとの連絡がありました。」
マイク「戻るわけ…ないだろ。何考えてんだ」
エリック「分かってます。丁重にお断りしておきました。あの。辛い時は泣いていいと思いますよ。」
マイク「ありがとう。」

それでも俺は泣けなかった。
確かにまだ泣いたことなかったな。
こんな俺でも泣ける日は来るだろうか…。
エリックに今日くらい飲みに行こうと誘われたが行く気になれなかった。
こっそりアンナ病室を除くとロディと楽しそうに何か話しているのが見えた。
若いっていいな。俺も歳をとったな。
気づけばそんなことを思うようになっていた。

プルルル…プルルル…
こんな夜に急病患者か。電話を取る。

エリック「マイクさん!!急いで病室開けてください!!!!!早く!!!」
マイク「え、エリック!?どうした?」
エリック「説明はあと!診察室の準備もお願いします!」

俺はわけも分からず診察準備と救急救護室の準備をした。それから5分も経たずに救急車は病院へと着いた。

マイク「エリック!準備は整ってる。」
エリック「ありがとう。」

エリックはいつになく悔しそうな顔をしていた
気づいてあげられなかった。なんで。
エリックはずっとそう呟いていた。
声をかけようとも思ったが今はそっとしておくべきだとそう思った。ぽんと肩に手を置き
そのまま立ち去った。

ローラ「マイク先生。大丈夫ですか?」
マイク「俺は大丈夫。」

それしか答えられなかった。今はエリックと運ばれてきたミカという患者が心配だ。
ミカの診断結果から今の日本の医療技術ではほぼ助からないと分かっていた。
それからエリックはほとんど寝ないでミカの看病をするようになった。後々聞いた話だがよく飲みに行くBARの子らしい。

マイク「エリックそろそろ休め。」
エリック「マイク先生。助からない命が目の前にある時。それが大切な人だった時貴方ならどうしますか?」
マイク「……。エリック?」
エリック「マイクさんちょっといいですか?」
マイク「なに?」
エリック「エロ本いります?」
マイク「…は?」
エリック「冗談です。救えないのが苦しくて」
マイク「変なこと考えてねぇよな?」
エリック「…」
マイク「エリック。お前は医者だよな?」
エリック「そうですねやらせてもらってます」
マイク「医者だよな?」
エリック「どうなんでしょうか…」

これがエリックの出した答え。
エリックはそのまま立ち去っていった。

ショーン「エリックさんが薬を取りに来ました」
マイク「本気…なんですか?エリックは。」
ショーン「恐らく。」

それ以上何も言い返せなかった。


マイク「もうこんな時間か。」

すっと椅子から立ち上がったもののいつもより体が重く感じた。
患者が起きないようゆっくりとドアを開け、
顔色、体温などを確認する。
全ての部屋の確認が終わりそれをカルテに書き込む。ぐぐっと背伸びをする。いつもより胸が苦しい。気づけばエリックのことを考えていた。

エリック「マイクさんちょっといいですか?」
マイク「なに?」
エリック「エロ本いります?」
マイク「…は?」
エリック「冗談です。救えないのが苦しくて」
マイク「変なこと考えてねぇよな?」
エリック「…」
マイク「エリック。お前は医者だよな?」
エリック「そうですねやらせてもらってます」
マイク「医者だよな?」
エリック「どうなんでしょうか…」

その会話のあと俺の前で白衣を脱いだエリックを見て俺は悟った。エリックにそんな必要は無い。そう伝えたかった。しかしそれはエリックが選んだ答えなのだ。俺はその気持ちに寄り添うことは出来なかった。それが何よりも悔しかった。気づけば辺りは明るくなっていた。

マイク「まじか…5分仮眠とるか。」

ピピピと目覚ましがなる。
目を開ければエリックが立っていた。

エリック「朝に仮眠をとるのは良くないですよ?」
マイク「なぜ?」
エリック「朝立ちしたら抜けないでしょう」
マイク「…この変態医者」

エリックはニヤッと笑った。
エリックのこの笑顔の裏に苦しさを隠しているのかと思うと余計胸が苦しい。
聴診器を首から掛け、朝の診断の準備をする。

マイク「今日は、ミカからか。」

エリックからあの事を聞いたからだろうか。
いつもより足取りが重たい。

マイク「入るぞ。おはよう。調子はどうだ?」
ミカ「今日は気分がいいの」
マイク「それは良かった」
ミカ「…私いつ死ぬのかしら」
マイク「大丈夫。治るさ。エリック先生が見てくれてんだ。あいつ腕はいいから。」
ミカ「そうね」

そう言ってみかは微笑んだがその微笑みに目の輝きはなかった。胸が苦しい。もう長くないそうわかっている。
俺からそれを伝えることはどうしても出来なかった。

マイク「後でエリック先生来るからな」
ミカ「嬉しいわ」
マイク「じゃ、また後でな」

そう言って部屋を出た。
わかっている。俺はミカに本当のことを伝えなかった。伝えられなかった。
無理にでも気持ちを作りアンナの部屋へと足を運ぶ。走り回るのは禁止しているが勢いよく部屋から出てきた。

マイク「…っと?なにしてる?」
アンナ「ひぇええ…ごごごごめんなさい!!」
マイク「まぁいい。ベッド戻れ。診断の時間だ。全く。苦い薬飲みたいのか?」
アンナ「やだ!」

ベッドに戻ったアンナの診断をおわらせ
頑張ったなと飴を渡せばありがとうと笑った。
そのまま病室を周り診断を済ませ戻ってくれば
昼の時間になっていた。

マイク「さすがに…ねみぃ。」

メガネを外し目を擦っていると血相を変えてローラが走ってきた

ローラ「マイク先生!昨日もろくに寝てないんですか!?!?寝なきゃダメって言ったじゃないですか!!!」
マイク「寝てるわ。大丈夫。」
ローラ「それならいいのよ!」

それだけ言うと行ってしまった。可愛いやつだ

気づけば寝ていたらしい。やばっと起き上がり時計を見ると3時が告げられていた。
肩には誰かがかけてくれたのであろうタオルケットがかけてあった。

エリック「午後の診断104号室と……は、終わらせておきましたのでその後からお願いします。だから仮眠しておけと言ったでしょう。」
マイク「ありがとうございます。エリックは、みかの所行ってあげてください。」

ペコとお辞儀をし診断の終わってない部屋に向かいながらエリックを行かせたのは間違いだったのかと考えていた。大丈夫だよな。午後の診断は、そんなことを考えていた。

ロディ「マイク先生!これどうやったらいいんですか??エリック先生見当たらなくて」
マイク「ああ、これか?これはこうする。あとは診断結果をまとめて、ここに記入する。」
ロディ「ありがとうございます!!」
マイク「アンナはどんな感じだ?」

ちゃんと診断できているのかを確認するために聞いてみる。しっかりとした受け答え。
研修医の中で彼が1番しっかりしている。

マイク「よく出来たな。」

ロディは、へへっと笑った。


夜またカルテをまとめる。パソコンに内容を打ち込むのだ。片手にウィダーを持ちながら
パソコンとにらめっこしている。
ミカのカルテが目に止まる。そこには俺の朝の診断以外何も書かれていない。俺は全てを悟った。苦しかった胸がさらに苦しくなる。
時計は真夜中を告げていた。

ローラ「マイク先生…?こんな時間まで仕事してたんですか?」
マイク「俺が気になって戻ってきたのか?」

みかのカルテをすっと下ろす。

ローラ「今日は、夜勤じゃないでしょう?そ、そんなことないですよ!」
マイク「ふーん?俺は患者の様子を見てくるからな。」
ローラ「昨日も夜勤だったじゃないですか。ダメです。」
マイク「は?」
ローラ「…顔赤くないですか?じっとしててください。」
マイク「俺は大丈夫だから。」
ローラ「ダメです。熱あるじゃないですか!!大人しくしててください!てか寝てください!」
マイク「熱?ない。」

めんどくさいのに絡まれたとメガネを外せば
何故か彼女はこちらを見つめている。

マイク「なに?」
ローラ「…!?なんでもないです!!!」
マイク「変な奴。」

仕方ないとソファに座れば彼女は、体温計を持ってきた。熱を測れという。自分のことくらい自分がよくわかっている。おそらく熱はある。
心配はかける訳にはいかない。

マイク「熱…ないわ、大丈夫」

彼女に渡す前に電源を切りソファから立ち上がる。

ローラ「だ め で す!!!この手ぜーったい話しませんから。」

やばい。もっと熱あがったな。今顔を見られるのは困る。

マイク「わーったわーった。目つぶれ」
ローラ「へ?こ、こうですか?」
マイク「ぜってぇ開けんな。どこにキスしてほしい?」
ローラ「えぇえええ??!じゃあおでこで…」
マイク「ん。」

彼女の言うことを聞くはずもない。口に軽くキスを落とし抱きしめ返す。途端体が軽くなった
このまま倒れては彼女が怪我してしまうかもしれない。ソファに手をかけ横になる。

マイク「危ねぇ」
ローラ「ほら言わんこっちゃない!寝なさい」
マイク「すまん。」

俺はそれからどのくらい寝てたのだろうか
ソファで寝ていたはずなのにベッドに居る。
起き上がれば見覚えのある景色。

マイク「仮眠室…?」
エリック「体調大丈夫ですか?」
マイク「エリック…」

エリックは、小さな袋に入った2つの薬を見つめながらニヤリと笑った。

エリック「病気なんてもので殺されるのなら私が殺してしまいます。誰にも渡しません。私も逝きます。ありがとうございました。」
マイク「…決めた、のか?」
エリック「はい。あ、朝立ちしたらみんなにバレないように個室で抜くのをオススメしますよ。」

俺は何も言えなかった。涙も出なかった。
いつもなら言い返していたのだろうか。
気がつけば笑顔で送り出していた。
白衣を着聴診器を首にかけ診察の準備をした。

夜、エリックの姿が見えないのが気になりミカの病室に向かう。足取りは重い。嫌な予感がした。ゆっくり扉を開ける。そこには寄り添うように目を閉じているエリックと笑ったように目を閉じたミカの姿があった。
ずっと手を伸ばし2人の首元に交互に手を当てる。間に合わなかった。救えなかった。
今まで溜まっていた涙がどっと溢れた。

マイク「エリック!!エリック…!嘘だろ?
なぁ。嘘だよな……ありがとう。エリック。」

涙が止まらない。こんな姿見せられない。

マイク「やめろって言ったのに…」

しかし胸の苦しさは消えていた。医者になって初めて泣いたからだろうか、それともエリックに感謝の気持ちを告げられたからだろうか。
エリックとミカを霊安室のベッドへと運ぶ。
2人の体はすっかり冷たくなっていた。
部屋を離すのは、出来なかった。
同じ部屋にベッドをふたつ並べ2人を寝かせた
手を合わせ部屋から出れば彼女が立っていた

マイク「事情は聞かず肩を貸してくれ」
ローラ「はい。」

彼女は何かを悟ったかのように悲しそうな目をし肩を貸してくれた。初めて俺は彼女の前で泣いた。泣かずにはいられなかった。
小さな手が俺の頭を撫でてくれた。少しすると
彼女が口を開いた

ローラ「ロディ先生が探しておられましたよ
何かわからないことがあるみたいで…」
マイク「すまない。すぐ行く。」

ロディの元に行く前にトイレに立ち寄り顔を洗い眼鏡をかけ直す。
きっとロディは気づいているだろう。
しかし気をつかせてしまってはいけない。
気持ちを切り替え、笑顔を作りロディの元へ
向かった。

マイク「遅くなってすまん。どこが分からねぇんだ?」


それから早10数年が過ぎた。
あの後アンナは順調に回復し退院して行った。
退院する間際

アンナ「私大きくなったらロディと一緒に働けるように看護師さんになる!」

そう言っていた。俺らは頑張れよと笑顔で見送った。連絡は取っていなかったが昨日俺に1本の電話が来た。相手はそうアンナだ。

マイク「はい。」
アンナ「ありがとうございます!明日からですよね?」
マイク「おう、待ってる。ロディも居るからな」

電話越しでもアンナの喜んでいる表情が目に浮かぶ。そんなアンナが今日来るわけだ。
あえてロディには黙っていた。
扉が開きアンナが飛び込んできた。元気だな。

アンナ「お久しぶりです!!!!!」
ロディ「ア、アンナ!?!?」
アンナ「えへへ!きーちゃった!マイク先生!ローラ先生もお久しぶりです!」
ローラ「アンナちゃんお久しぶり!元気だった?」
アンナ「はい!そして報告があります!!」
マイク「ロディ今日からここの研修医になるアンナだ。お前が面倒見るように。」
ロディ「ほんとに!?やった!」

みんなの笑顔を見たのはいつぶりだろう。
また賑やかになるな。

アンナ「あの、マイク先生?薬指ってもしかしてもしかしますか?」
マイク「ああ、するんじゃねぇか?」

ちらっとローラを見るとえへへと嬉しそうに薬指をキラキラさせていた。
そう俺らはあの後晴れて結婚したんだ。
俺からプロポーズしたかって?教えるわけねぇだろ。
俺はそのまま自分のデスクに戻り、ある人と写っている写真にこのことを報告した。
いつもより笑ってるような気がしたのは気のせいだろうか。
こうして俺の生涯は幕を閉じた。はずだった。
あの日までは。


おそらく救急車だろう。意識朦朧としている。
大丈夫か?しっかりしろという声が聞こえる。
しばらくして病院に着いたのか。バタバタと走り回る人達の足音と俺の乗っている担架のタイヤの音が廊下に響く。どこに運ばれているのだろうか。
刺されたところが痛い。

看護婦「先生!大変です!前の患者の手術に彼と同じ血液型の輸血が使われてしまっていて、輸血が足りません!!」
先生「なんだって!?今から頼んでも間に合わないぞ!」

かすれゆく記憶の中そんな会話が耳に飛び込んできた。瞬間俺は死を覚悟した。

看護婦「どうするんですか!?」
先生「今考えてるんだ。とりあえず止血が優先だ。傷口を閉じなければ。」

そこから何があったのか俺には全く記憶にない。きずけばベッドにいた。体には心拍記録装置がつけられ、口には酸素マスクがついていた

???「マイク先生…あなたマイク先生よね?」
マイク「…えっと…?」
???「あ!目が覚めたのね、よかったマイク先生」
マイク「なんで…俺…の名前…先生?」
???「ちょっと待っててください今先生読んできますから」

そう言ってはいたものの握られている手を話そうとはしないその女性。誰だろうか。
初めて会ったはずなのに初めてのきがしない。むしろ懐かしい感じがした。女性の右胸にあった名札にはローラと書かれていた

ローラ「先生急患で…いなくて」
マイク「俺は大丈夫ですよ」
ローラ「動かないでください傷口が開きます。簡単に閉じることしかしてないんですから…」

そう言って涙を流す女性。

ローラ「あなたはもう。また無茶をしたんでしょう。こんなボロボロになって…やっと会えたのに。」

この女性はきっと誰かと勘違いをしている
俺はそのマイク先生では無い。ただそう呼ばれていた気もしなくはない。いつのことだろうか。

ローラ「何があったの?」
マイク「絡まれて…たから…助けただけ…そしたら何ヶ所か刺された…」
ローラ「優しい所と正義感が強いところも変わってない。」
マイク「看護婦…さん」
ローラ「これ以上は、喋らないで。傷口が開いちゃうかもしれない」

そう言って手を握りしめられたが手を握り返すほどの元気は残っていない。

マイク「俺…あなたのこと…しらな」

言いかけてやめようと思った。これ以上言うと悲しませてしまいそうで、もっと泣かせてしまいそうで言えなかった。

ローラ「ええ。そうですよね…分かってます。あなたが知り合いにすごく似ていたから…」
マイク「あの、泣かないでください」

かけれる言葉がそれ以外に見つからなかった。もし体が動くのであれば抱きしめて頭を撫でてやりたい。そう思った。
ごめんなさい。その女性はそう言って握っていた手を離した。

ローラ「昔の古い…知り…あいです。」
マイク「そうなんですね。なら、俺がその人に…」

そう言おうとすると女性は、言葉を遮り、

ローラ「いいえ、あなたはそのままで。
それともう少しここに居てもいいですか」
マイク「はい。いいですよ」

少しし驚いたが悪い気はしなかった。
あ、やばいまただ。意識が朦朧としてきた。少し静まりかえった病室に聞こえるのは俺の心電図が刻み込まれていく音だった

マイク「う''…」

瞬間激痛に襲われた。おそらく一番深い傷口だろう。痛い。でもこの女性にそんなに心配をかけては行けない。我慢しなくては

ローラ「マイクさん!待っててください!
やっぱり先生を呼んできますから!」
マイク「死ぬのは怖くないと思ってたんですが…間近になると怖いものですね。」
ローラ「死ぬのが怖くない…?」
マイク「人はいつかしぬんです。それが俺は早かったそれだけですから……」

う''…づ…まただ。痛い。これ以上心配もかけられない。

ローラ「死ぬなんて軽く言わないでください!あなたは死にません。私が死なせません!」

死ぬのはもう分かっている。でもこの女性に泣くところは見せられない。

マイク「ローラ…さん1つ頼んでもいいですか?」
ローラ「頼み…?」
マイク「少し抱きしめてもらってもいいですか?」

自分からは動けない。これが俺が今できる精一杯の事なんだと思った。ふとピンクの髪の女性の姿が頭をよぎる。似てる。
あ。思い出した。俺は前世は医者だったんだ。そしてこの女性に会ったということを

マイク「ありがとな」
ローラ「…!?マイク…先生?」

そうか彼女だ。この女性が彼女なんだ。
また静まりかえる病室。隣の部屋からは
笑い声が聞こえる。耳をすませば高校生くらいの男の子とここの看護婦だろうか?2人の声が聞こえる。

アガッ…また激痛がはしる。気がつけば止血したはずの傷口から血が出ている。

ローラ「マイク先生、お願い。私を置いていかないで。せっかく会えたのに…」
マイク「最後…にあなたに…また会えて…よかった。」
ローラ「最後なんて言わないで!!!」
マイク「ウグッ…」
ローラ「マイク!!!お願い!そんなの許さない!」
マイク「ありがとな…またお前に会えて嬉しかった…」

薄れゆく記憶の中そう呟いた。
おそらく彼女は、気づいていないだろう。

ローラ「ドジばっかの私をからかってよ」

彼女の叫び声は聞こえている。
しかし喋る余裕ももうない。限界。
彼女のほほに手を当て撫でようとしたが体が言うことを聞かない。
心拍記録装置の音がだんだん遅くなっているのが聞こえた。

マイク「あり…が…と。愛していたよ。」

そのまま俺は目を閉じた。
目を閉じた瞬間に一滴の涙が零れた。

ピッピッピッピーーー………

来世で俺は必ず君を見つけ出す。



マイク「これで。やっと…」
俺には人には言えない理由がある。それがホントのことなのかは分からない。でもほんとであって欲しい。前世の記憶。俺の夢なのか。
俺はそこであるひとを見つけ出すという約束をしていた。
沢山時間はかかった。でもこれは神様がくれた最後の贈り物なんだと思う。
医学部を好成績で卒業。
今日から俺は医者なんだ。もちろん勤務先は決まっている。
俺は勢いよく扉を開ける

マイク「ローラ!迎えに来たぜ!」

〜完〜

人狼ジャッジメント~病院パロ~

お読みいただきありがとうございました!

人狼ジャッジメント~病院パロ~

  • 小説
  • 短編
  • 恋愛
  • サスペンス
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-10-16

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

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