run out

疲れきって家から飛び出した
携帯に繋がれたヘッドホンから
流れるのは切ないラブソング
もし傍に君が居て慰めてくれるのなら
走って急いで家に帰るよ

特に目的地を決めていなかった
呼吸は荒くなっていたけど
ふと気付けば一歩も進んでいない
僕は駐車場で地団太を踏んでいたんだ
はたから見たらおかしい人だ

僕は今さえ幸せならば
何もかも要らなかった
僕は君さえ幸せならば
どうでも良かったんだ

それでも少しずつ進み始めていた
携帯が数えていた歩数は
今やっと50歩を超えていた
もしこのままのペースで歩いていけるなら
きっと今夜中に100歩を超えるよ

とっくに息切れは無くなっていた
歩幅は小さいままだけど
ふと思えば昨日よりは成長している
僕は朝の陽が昇っても歩き続けたんだ
見たくない現実から逃避していた

一体どこに辿り着くだろう
この道の成れの果てに
一体何が待ち構えて居るだろう
何色の世界があるのだろう

run out

run out

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-10-14

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted