涙の残像

干涸びた瞳に水を注いでも

溢れるその雫を拭き取るだけ

乾いた魂の一握りを繋いだまま

外れた歯車を無理やりに入れ込んだ

錆びてしまった  僕は

ここから逃げ出したくなった





宙に浮いた心を刺して

忘れないで

忘れて

忘れない

忘れたい

忘れられたい   から

光の下には何も置けなかった

すべては幻のように破り捨てた






神様なんて敵でしかないし

この意識も敵だった

周囲から蝕む歌が聞こえた

透明になりたい

透明にならなくちゃ

って走り出したけど

周りから聞こえるのは冷たい雨の音








光があるなら早く僕を刺してくれ

それだけが本当の光だから

喪失だけが僕の希望だった

そうしたら世界は鮮やかに染まるんだ

目を開けたら綺麗なグラデーション

コンクリートに乱反射した夢が

この夕焼け空に溶け込んでいる







僕は誰にも会えない

僕は誰とも会わない

僕は誰かと会いたい

僕は誰かに会いたい






秋の寒空の下で願った虚しさを

世界を踏みつけながら殺した僕は

いつも誰かのために生きていたんだ

涙の残像

涙の残像

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-10-12

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