お猫さま 第五話ー猫地蔵
猫の人情小噺です。笑ってください。PDF縦書きでお読みください。
医は仁術と申します。からだが病気になるてえと、心も病になって、心を治せばからだの病も良くなるというわけですな、その上、心が健康になると、それがからだの栄養になって、からだも丈夫になるてなわけで、医者のことば一つが仁術を施すということなわけです。もともと、病は気からとも申しますから、医者は手術が上手いばかりではだめということでもございます。しかし、それでも治らない病はたくさんございます。そうなると出てくるのが、神様、仏様、イエス様ということになるわけでございます。
やっと涼しい風が吹き始めた夕方、いつものように熊八と八五郎が縁で涼んでおります。
熊八がふと前を見ますと、地面にぽっかり穴が開いて、蛇が顔を出しました。
「蛇だ」
熊八が逃げようと立ち上がりました。
「なにもいねえじゃねえか」
八五郎も前を見ます。
「いや、ちょっと前に蛇が顔を出した」
八五郎が顔を土に近づけますと、本当に緑色の蛇が、顔をだし、にょろにょろと這い出してまいりました。
「ひゃー」
八五郎が飛び上がります。
二人そろって、さー逃げようとしますと、蛇が呼び止めました。
「ちょいと、兄さん方、噛み付きゃしないよ」
蛇がしゃべるなどということはこの世界しかありませんな。
熊八と熊五郎が顔を見合わせ、もう一度腰を下ろしますと、蛇はちょっとばかり後ずさりをして、鎌首をもたげます。
「娘が太りすぎて困っているのさね、治す医者をご存知じゃありませんか」
そう言いながら、赤い舌をぴろぴろとだします。あまり気色がいいものではありません。ところが気色をひっくり返して、色気のある蛇でして、ちろっと流し目などいたします。
熊八と八五郎は医者にかかったことがありません。何を食べたって病気をしたことのない二人です。医者など知るわけがありません。
「そういえば小咄に夏の医者というのがあったな、蛇が夏の医者を飲み込んでお腹を壊すというやつ」
熊八が言いますと、八五郎がつっこみます。
「なんでえ、娘に医者を飲み込ませて、やせさせようっていう魂胆かい」
蛇は首を横に振ります。
「そんなことはしやしませんよ、痩せる薬が欲しいんですよ、娘がね、外にも出たくないってんで、困っちまってるんです」
どの生き物でも娘はスタイルを気にするし、親は子に苦労するものですな。
熊八と八五郎は、「役に立てなくてすまねえな」と、家に入ってしまいました。
「人間てえのは頼りにならないねえ」
蛇は鎌首をもたげたままで途方にくれています。
すると、井戸の脇からその様子を見ていた野良猫の虎が蛇に近寄ってまいりました。
「おい、蛇のおっかさん、人間の医者なんて、藪もいいとこだ。やめときな」
「猫の兄さん、いい医者知ってるのかい」
「いるよ、町の外れのお地蔵さんの裏にすんでいる猫の黒ばあさん、猫の世界じゃ知らないものはいないね。どんな病でも治しちまうし、美容整形までしちまうんだ」
「そんなにすごいのかい」
「すごいのなんのって、あの黒猫のばばあ、やり方は乱暴だが腕はたいしたものだ」
「へええ」
「こないだあ、白の美容整形をまた見事にやったもんだ」
「その、白ったあ、だれだい」
「呉服屋の三毛猫の玉に白猫の息子がいてね、名前が玉三郎っていうだが、その玉三郎が、おっかさんと同じ三毛猫になりたいなんてだだこねやがった。玉三郎のやつどう見たって、歌舞伎の女がたみてえに、なよなよしてやがんだ。三毛ってのは雌すしかいねえんだ、それになりてえんだとよ」
「雄が雌になりたいっていうのかい」
「そうだ、それで、俺が玉に頼まれて、玉三郎を黒ばあさんのところにつれてったんだ」
虎はその時の模様をこと細かく蛇に話して聞かせました。
「黒ばあさん、この玉三郎が三毛猫になりたいんだとよ」
「なんでだい」
「わたいは、雌になりたい」
「そのまんまでも、雌みたいだよあんたは」
「でも、三毛になりたい」
「してやるけどがまんできるかね」
「がまんします」
ってんで、始まったね。
黒ばあさんは大きな鍋に水をどぼどぼいれて、何やらの実を一つ入れたね。そして、玉三郎をその前に連れて行くと、
「けっとばせにゃー」と言って、思いっきり蹴っ飛ばし、玉三郎を鍋の中に落としたよ。
玉三郎は、「にゃーにするの」なんて叫んで、水の中であわあわしていると、鍋の表面が真っ白になった。
何だ、と見ているとね、玉三郎の白い毛が浮いてきたんだ。玉三郎は毛が全部飛んでいって赤裸さ。
「なにの実をいれたんだい、黒ばあさん」
「けとりの実」
そんな植物あったかどうかは知らねえが、ともかく毛が抜けた。それからが大変だね。赤裸の玉三郎を炭焼き小屋に連れて行ったよ。炭の粉をまぶされて、玉三郎は真っ黒さ。
次は、ひどいね、肥溜めに落っことした。くせーたらありゃしない。
玉三郎のやつ涙をぼろぼろ流して、「もういやにゃー」なんて言ってたけど、そこから上がってきたら、玉三郎は、黒と茶色と赤のまだらだ。
黒ばあさんが、
「かわいくなりたきゃがまんだね」
なんて言って、今度は粉屋に連れて行った、うどん粉にまぶしたね。
玉三郎のやつくたくたになってハアハア言っていると、黒ばあさんは、松の葉っぱで玉三郎のからだを叩いたね。
「毛え生え、毛え生え、どんどこどんどこ」って言いながらだよ。
「玉三郎はちくちく痛くて、猫踊りをしちまった。でもね、そしたら、毛が生えてきたよ、それは見事だったね、白黒茶色の市松模様になったってわけだ」
「乱暴だね」
「毛っとばせ療法って言うらしい」
「ほんとかね」
「ほんとだい、今は玉三郎のやつは三毛になって幸せなんだ」
そんな話をしていますと、そこへ玉三郎がしゃなりしゃなりと歩いてまいります。
「また、うまくできてるね、今お前さんの話をしていたんだ」
「あーら、虎のおじさん、あたいなかなかのものでしょう」
と、玉三郎がしなをつくる。
「やめてくれー」
「おんや、そんなところに、蛇の姉さん、何しているの」
「虎のお兄さんに、黒猫のおばあさんのことを聞いていたのですよ」
「娘が医者にかかりたいんだとよ、お前さんが三毛になったことを話していたんだ」
「あのおばあさん、じょうずよお、蛇の姉さんは何になりたいの」
「いやそうじゃござんせんよ。娘が太っちまって痩せたいというものでね、相談に出てきたわけですよ」
「お嬢さんを呼んでらっしゃいな」
蛇は自分が出てきた穴に向かって叫びました。
「ほら、出といで、お医者に行くと痩せることができるよ」
蛇の娘は穴から小さな顔だけ出して挨拶をしました。
「よろしゅうに」
「ああ、出といでよ」
虎が声をかけると、すっぽんと大きな音がして、娘が飛び出して玉三郎の前に、どさっと落ちました。
「おんや、ツチノコだね、かわいいね」
それを聞いた蛇の娘は、はずかしくなって、首を穴に突っ込んでもどろうとしましたが、からだがつかえて入っていきません。
「虎のおじさん、女の子の気持がわからないねえ」
玉三郎が言います。
「いや、すまねえ、でもかわいいじゃねえか」
ツチノコのような娘蛇は黒い目をくりっとさせて虎を見ました。
「無理に痩せるこたねえのにね」
「私もそう思うんですがね」
「まあ、いいや、黒ばあさんのところに連れてってやろう」
てんで、蛇の親子を連れて、虎は町外れの地蔵のところにやってきました。
黒猫が地蔵堂の中で居眠りをしています。
「おーい、黒ばあさん、頼みたいことがあるんだがね」
黒猫は大きな欠伸をして出てまいります。
「またかい、お前も年だね、ずいぶん太ったね」
「俺じゃない、ほれ、目の前の蛇の娘だ」
「ありゃ、ツチノコかい」
それを聞いた蛇の娘は、おいおいと泣き出しました。
「あたしゃ、なんか悪いことをいったかい」
「蛇の娘は、太っていることを気にしているんだ」
「太っているほうがかわいいじゃないかい」
黒ばあさんは虎と同じことを言って、蛇の娘を見ました。
蛇の娘は、「いやいや、そんなのいや、おっかさんと同じになりたいの」
と泣いています。
となりに、緑色の蛇がとぐろを巻いて流し目で黒ばあさんを見ています。
「あんたがおっ母さんかい」
「はい」
「色っぽいねえ、可愛いのとどっちがいいのかね」
「娘はあたしと同じようにして欲しいと言っております」
蛇の母親も頭をさげます。
虎も「たのむよ」と頭を下げました。
「しょうがないね、引き受けるか」
「それじゃあ、俺は帰るからたのんだよ」
ということで、虎は蛇たちを残して帰っていきました。
黒ばあさんは、
「おっかさんとおんなじになりゃいいのかい」
と念を押しました。
「はい」
娘は頷きます。
「この子の父親はどこにいるんだい」
黒ばあさんが母親に尋ねました。
「山の麓に住んでおります」
「へ、もしかすると、もう三百歳になるっていうあのツチノコかい」
「ええ、とってもつよいんですもん」
蛇の母親は顔を赤らめました。
「悪い爺だね、若い子をたぶらかして、娘がそっくりじゃないか、こりゃ大変な仕事だね」
黒ばあさんは、
「お母さんと同じようになればいいのだね」と再び念を押すと、娘に地蔵堂に入るように言いました。娘は窮屈そうに地蔵堂に入ります。
蛇の娘がお堂に入りますと、
「ほりゃ」
黒猫ばあさんはかけ声とともに、地蔵を蹴っ飛ばしました。
地蔵は、どたっと、蛇の娘の上に倒れました。
「むぎゅう」
蛇の娘は地蔵の下でぺったんこになっています。
「蹴っ飛ばし療法だよ、しばらくの我慢だよ、そうすりゃ、おっかさんと同じになるよ、これからちょっとでかけるからね、待っておいで」
なんと、これも「けっとばし療法」でした。
黒ばあさんは目を白黒させている蛇の娘に言い残しますと、母親を連れて、牛小屋につれていきます。牛たちの間を抜けて、裏に出ると草原にまいりました。
草原の中に大きな甕が置いてあります。
黒ばあさんは蓋を開けると、指を突っ込で中のものを舐めました。
「美味いね、お前さんもちょっとお食べ」
黒猫は蛇のしっぽをつかむと、頭から甕の中に入れました。中には白い豆腐のような柔らかいものが入っています。
「さーお食べ」
蛇は口を開けると赤い舌をちろちろ出して、舐めました。なかなか美味しいものです。
「これはなんでしょう、初めて食べますが」
「そりゃそうじゃ、これ以上美味いものはありゃしない。醍醐じゃ」
醍醐とは今で言うチーズでございます。
「牛の乳で作るのじゃ、あたしが作っておいた。いいから食え」
チーズはその頃大変高価なものです。
「娘のためにたくさん食べなさい」
黒ばあさんは蛇に言います。
しばらくすると、蛇が重くなってきました。
「もういいだろう」
黒ばあさんは、蛇の母親を甕から引っ張りあげました。
「おお、おいしかった、これで娘が助かるのですか」
「そりゃあ大丈夫、地蔵堂にいってみりゃあわかるさ」
黒ばあさんは地蔵堂に戻ります。
蛇の母親も、よたよたと黒猫について地蔵堂にやってまいります。
地蔵堂では娘が窮屈そうに待っています。
「さて、もういいだろう」
黒ばあさんは地蔵を持ち上げると、蛇の娘をお堂から引きずりだしました。
凧のように平べったくなっていた娘はしゅーっと膨らんで、また元のように太くなりました。
しかし、肌は真っ白になっています。
「おお、苦しかった」
そういって、首を持ち上げました。
「さっぱりしたろう」
娘は頷いて、前にいる母蛇を見て驚きました。
「お父さん、どうしてここに来たの」
母親はツチノコのように太っております。
母蛇は「母さんよ」と自分のからだをみるとこれまた仰天。
「あら、お前とそっくりだよ、でもお前、真っ白になって綺麗だね」
「あ、ほんと」
娘も自分のからだを見ます。
「これで、母さんと同じになったんじゃ、お地蔵さんのお陰だよ」
黒ばあさんはお地蔵さんに手を合わせます。娘と母蛇も手を合わせました。
「重かったろう」
母蛇が娘をねぎらいます。
「でも、お母さんと同じになった」
「そうだよ、さー帰ろう」
「ありがとうござんした」
こうして、蛇の親子は戻っていったのです。
黒ばあさんは蛇の後姿を見て、独り言を言いました。
「年頃になりゃあ、からだの中に女のもとがでてくるから、自然と痩せるさ、そういうものさ、若い頃はプチプチのほうが可愛いに決まってるさ」
女の元というのは科学的に申しますとホルモンでございます。
ほどなくツチノコの娘には彼氏ができて、その辺でも有名な姿のよい白蛇になったということでございます。
黒ばあさんはこうして、心理カウンセラーとしても有名になったのでございます。
熊八と八五郎が夕涼みをしております。
八五郎はここのところ元気がありません。
「どうしたんでえ、親方も心配してたぜ、なんかあったんか」
病気一つしたことのない八五郎の様子に熊八も気をもんでいました。
「どこか悪いんじゃねえかい」
「いや」
「そんじゃ、なにかい、おっ母さんの具合か、おっ父さんの具合が悪いんか」
八五郎の両親は江戸からほど遠からぬ、日野の地で百姓をやっています。
「いや、元気だ」
「それじゃ、どうしたんだ」
八五郎はうなだれているばかりです。
そんな様子を、猫の玉三郎が見ております。熊八と八五郎は夕飯時に、秋刀魚の骨などを猫に分け与えています。野良猫の連中は焼いている秋刀魚を掻っさらったりしております。
玉三郎は呉服屋でおかかご飯をいただいていますが、熊さんたちがくれる秋刀魚の骨をたまに食べたくなるのでございます。時には身のついた秋刀魚をくれることがあり、それこそ大ご馳走と、熊さんたちを尊敬しておりました。
玉三郎は黒ばあさんのところに行くと、次第を話しました。
「人間の面倒なんざみれないねえ」
「そういわずにたのみますよ、人間を治したとなりゃあ、そりゃあ、黒婆様も猫の神様になるよ」
と、おだてます。黒ばあさんは猫の神様と聞いて、ちょっと考えました。
黒ばあさんが地蔵様のところに住んでいるにはわけがあったのです。
「猫の地蔵になれるかね」
黒ばあさんは地蔵になりたかったのです。
「そりゃあ、人間を治したとなりゃあ、私らの地蔵様ですよ」
そういわれたらしかたがない、黒ばあさんは長屋に出向きました。
その日も八五郎が縁台にしょぼんと腰掛けておりました。熊八はその隣でなにやら懸命に話しかけています。何とか八五郎を立ち直らせたいという友情の証というやつです。
「黒ばあさん頼んだよ」
玉三郎に野良の虎も加わって様子を見ております。
黒ばあさんはゆっくりと、縁台に近づくと、八五郎を見上げて大きな目を見開きました。
この黒猫のばあさん、猫の間ではばあさんと言われていますが、長く黒い毛がふさふさとからだを覆い、大きな丸い目をもっていて、人間から見ると、それは可愛い猫でございます。
八五郎が黒ばあさんと目を合わせました。
すかさず、黒ばあさんは、八五郎の膝の上に飛び乗りました。
驚いた八五郎は、一端はのけぞりましたが、両足の上に乗った黒をなでました。
「どうしたんだろう、この黒猫は」
熊さんも驚きましたが、この猫がはずれの地蔵のところにいるのを見たことを思い出しました。
「こりゃあ、地蔵のところにいた黒猫だ」
そう言われて、八五郎も地蔵のところで見かけたことがあります。
「地蔵様の使いで来たに違いがない、いや、もしかすると地蔵様かもしれねえな」
熊八がそう言うと、八五郎が久しぶりに口を開きました。
「どうして、地蔵が来たんだろう」
「ほれ、八さんを心配してんだよ」
黒猫をなでながら、ぽつぽつと八五郎は話し始めました。八五郎は、見初めた魚屋の桃ちゃんが、お嫁に行ってしまうことを熊八に話したのです。秋刀魚を買いに行くたびに顔を合わせた桃ちゃんに一目惚れのようです。
熊八はことの次第を大家さんに相談すると、大家さんは首を傾げました。
「熊さん、魚屋の桜ちゃんが嫁に行くことが決まったと聞いていますが、妹の桃ちゃんのことは知りませんね、魚屋の親爺さんに聞いてみましょう」
「たのんます」
ということで、大家さんが魚屋の親爺にことの次第を話しに行きました。
戻ってきた大家さんは、熊さんの家にやってくると、魚屋での話を伝えました。
「やっぱり、お嫁に行くのは桜のほうで、桃ではないそうですよ、きっと、店の奥で親爺さんと女将さんが桜ちゃんのお嫁入りのことを話しているのが八五郎の耳に入って、勘違いしたのですよ」
「え、そりゃあ、大家さんありがとうさんで、八のやつ、それを聞けば元に戻ります」
「それでねえ、おせっかいだったかもしれないが、八五郎のことを話したら、親父さん乗り気になってね、その場で、桃ちゃんに話をしてくれましたよ、そしたら、あのお兄さんなら私お嫁に行ってもいいと、そういってくれたんだよ」
「え、そりゃ、八五郎が聞いたらぶったまげて、おっちんじゃう」
そのようなことで、八五郎と桃の結婚話はまとまり、八五郎はいつもの八五郎に戻りました。来年の桃の季節に桃ちゃんをお嫁にもらうことになった次第でございます。
八五郎は、熊さんにはもちろん、黒ばあさんにも大変感謝し、黒ばあさんを飼ってやることにしたのですが、黒ばあさんはそそくさと、地蔵のところに戻って行ってしまいました。
桃ちゃんをお嫁にもらった八五郎は、三日に一度は桃ちゃんと一緒にお地蔵さんにお参りをしました。熊さんにもお嫁さんをお探しくださいとお願いしたのです。時には熊八もいっしょにお参りをしたのです。
地蔵の脇では、地蔵の真似をして黒ばあさんが座っています。
八五郎と熊八は手を合わせ、お辞儀をして、秋刀魚を供えると帰っていきます。秋刀魚は野良猫たちのご馳走となりました。
やがてその話が広まり、お地蔵さんは猫地蔵と呼ばれるようになりまして、縁結び地蔵としてたくさんの人が訪れるようになりました。
熊さんにも良い嫁さんがきて、黒ばあさんは長生きをし、二十八歳、人でいうと百八歳でなくなり、なりたかった猫地蔵になったのでございます。
猫小咄集「お猫さま」所収 2017年 55部限定 自費出版(一粒書房)
2017年度(第20回)日本自費出版文化賞、小説部門賞受賞
お猫さま 第五話ー猫地蔵