とある

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プロローグ

1件目 ハッカー

─カタ、カタカタカタ
暗い部屋にパソコンのキーボードを叩く音が響く。
操作しているのは男性…と言うには少々若く、幼い顔立ちの青年。頭にはヘッドホンを付け、手は忙しなくキーボードの上を動いている。
彼がにわかにデスクから立ち上がると、パソコンの画面に「コピー 1%」と映った。じりじりと数字が増えていく。
しばらくすると青年が湯気のたったマグカップを持って帰ってきた。
「あちち、あつ……」
おぼつかない手つきでコップを机に置いている間にも画面の数字は着々と増えている

──97,98,99…100
ーコピー完了

「…甘!」
作業が完了したにも関わらず、青年は画面に目を向けずマグカップに入ったココアをすすっている。
「冬はやっぱりココア~…あれ、終わってるじゃん」
ようやく画面に目を向けると、終了を確認しスマートフォンを手に取った。
「た、ち、つ、て、…」
番号と名前を確認して通話ボタンを押す。
「……あ、鳥井さん。僕です東雲。データ取れたのでUSB取りに来て貰えます?…メール?いや逆ハックされたらどうすんの。なんなら紙媒体の方がいいんだからね!……はい、ちゃんと来て。お願いしまぁす。」
ブツ
一方的に通話を切ると残っているココアをまた少し飲んで立ち上がった。
椅子から上着をとって羽織ると、スマートフォンの画面が光った。着信を見ると見覚えのない番号だ。
「はい、もしもし。」

青年の名前は東雲柚木。若きハッカーである。


とある

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とある

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-10-08

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