酷使された魂。
悪魔が一番喜んで欲する魂は、他者によって利用されたり、騙されたり、いつも不運に見舞われていたり、そういう魂だという、そういうものはいつもひかれあうものなのだ、だから悪魔はそういう人やもの、団体や場所を狙っているのだが、なかなかそういう魂を手に入れることができない、そうそううまくいかない理由がある、悪魔にだって不運がないわけではない、悪魔といえどもともとは知性を持つ何らかの魂だったわけで、しかしどんな知性も偶然に見舞われることもある、悪魔が悪魔たるゆえんは、後ろ向きで自分の内なる邪悪な魂をよりどころにする臆病さに起因するものかもしれないがだからこそ自分に似通った、人によってひどい目にあわされた魂は、極上の好物であるとともになかなか近寄りがたい存在でもある、なぜなら自分に似通っているからだ、自分に似ているからこそ近寄りがたい、だから悪魔はそう言った魂がひかれあい互いに傷つけあうのを楽しそうにみているのだが、しかしその他の人間がそういった人間を利用している様子をみては、どちらのほうが悪魔なのだろうと皮肉じみた思いを抱いたりもする。
酷使された魂。