融通のきくトロール
遠く昔のこと、神話が近くにある世界でその近辺には神に近い怪物や天使や神秘的な生物がすんでいた。青くしげる森の中、木々の来い場所で、傍らにやさしい怪物の彼がいた。気弱で貧弱、草木や鳥と戯れて一日のほとんどをすごす、温和な怪物、グリーントロールだ。特徴といえばのんびりした動き、顔のへの字にまがった目とまゆげ、ハケ森のふちにいて、守り人を任されている、その昔巨人族の人間からその森の守護を任されていた、その森にはあまり人とかかわりたがらないエルフがいた、だから人間の村との交渉事などもときにやった、行商人から物を買うこともある。しかし何事にもやる気はそこそこしかもたない彼は融通がきいた、もともとおとなしい普通の人間だったがある事情で魔女に魔法をかけられたのだった。
それは遠い日のこと、グリーントロールはまだ人で魔女のいる庭が家の近くにあった、それは今の神に近い土地ではなく、人間のすむ土地だった。毎日、人間だったグリーントロールは、まだ小さく、妹と兄がいたがいた、ほかには父と母、月がでてから夜な夜な草木の世話をするお婆さんが隣にすんでいた。その人のことを父がときたま魔女とよんでいた。まさかかれも本当にそうだったとは思わなかったのだが、まだ自分よりうんと小さい妹は、何もわからずその魔女の庭に入ったことがあった。
それから何があったのか、グリーントロールは覚えてはいない。ただ自分がとても融通のきく優れた生物であるという事だけはしっている、トロール中では容姿もいいほうだ、やさしく、草食の動物によく似た見た目をしている、歯も草食のものだ、ただ一つ神々は心配する。実はグリーントロールの生前の魂は、兄ではなく妹のほうなのだ、妹は、助けに入った兄を庭からそとにだして、その後一人で魔女の魔術の実験体になったのだ。
融通のきくトロール