再開etc Ⅱ
夏も終わりかけ、20代の頃からの夜遊び友達(当時マリは二十歳になったばかりで私の7つ年下だ)と久しぶりに渋谷へ出かけた。
30過ぎたらなかなか足を踏み入れられない街だけど、夜になってしまえば関係ない。元々都内なんて昼間行ったことは無いに等しい。そもそも私の夜遊びデビューが遅いのだから歳のことなんて言ってられない。
その夜は、渋谷でも道玄坂界隈ではない結構ミーハーな大箱に直行。男を呼ぶ為に女の財布に優しい入場設定が魅力だったのと、BLACKMUSIC好きのマリが直感でそこがいいと言ったからだ。
私達は店に入ってざっとフロアーを見渡したあと、バーカウンターでテキーラショットを頼もうとしたらショットでは出せない、テキーラバック(テキーラをジンジャーエールで割ったモノ)なら出せると言うので、二人で一杯目を飲んで、あまりの軽さにに二杯目もあおってからフロアーを見渡しDJブースの目の前に陣取った。いつもそうだ。もう男目当てでもないし、ここは客層もめちゃめちゃ若い。ただ踊れればいいのだ。
DJも若いHIPHOPっぽいカッコばかりのなか、ひとりラフな年上の男がいる。
私は目を凝らして見たら、あのKO-TAではないか!でっかい声で「ちょっと!KO-TAだよ!!」とマリに叫び、KO-TAに思い切り手を振り、ブースに駆け寄った。
懐かしさと酔いが回り始めた勢いでKO-TAに抱きつきながら「なんでいんの!?久しぶり~!!」と歓喜の声を上げた。
KO-TAも「お前らまだ遊んでんだ。二人でいたからすぐ分かったよ。」とちゃんと覚えていてくれた。会うのは10年ぶりくらいになる。
私達のCLUB遊びを変えてくれた重要なDJなのだ。
出会いは今は無い海辺の大箱のラウンジでKO-TAが回していて、まだどんなジャンルで踊っていいのかも分かっていなかった私達にぴったりハマッたBLACKな選曲。私もマリもこのDJしかいない!と思い、思い切って話しかけ普段どこで回しているのか色々聞き出したのをきっかけにKO-TAが回す店、イベントはほとんど顔を出すようになった。いつもマリと二人で。
そのうちマリはKO-TAを好きになった。いわゆるDJマジックではない、本気の恋だ。KO-TAは私のちょい上だったからマリからしたら、年上の魅力ある男に映っただろう。しかも気さくで偉ぶらない。DJにはあまりいないタイプの男だ。マリはいつかKO-TAに似合う女になると努力と目標をかかげ健気にガンバっていた。私は影から見守りながらKO-TAと話すのもマリ最優先でいつも一言二言といった感じだった。
そんなCLUB活動がしばらく続いたある日、KO-TAはマリのいないところで私に話しかけ、小さい仕事でBARで回すから気軽に遊びに来てと言った。
再開etc Ⅱ