幽霊は幽霊屋

 幽霊は幽霊に任せておけばいい、こんな話を人から聞いたことがある。餅は餅屋だから。その人はカメラ屋さんだったが、知り合いの知り合いだ。
よく、自分の通う雀荘にきている。それで何度か話をしたことがあったが、昔若いころ、その人は幽霊屋敷のようなアパートに住んでいたことがあったらしい。そのころ、貧乏学生だったので、都会でそれほどいい部屋に住めるわけもなく、彼は仕方なく幽霊のうわさがたっているそのアパートを選んだ、他に住人はいないという事だったが、夜ともいわず、昼ともいわずそこら中から足音や何かすごい音がする、一度大家に全部屋を覗き見せてもらったことがあったが、特に、例えば野犬やホームレスなどが住み着いている事もなかった、それはそれでよかったのだが時に友達や恋人が遊びに来ることがあって、そういうときにそのままだと、その後の関係に支障をきたすこともある、というので幽霊を退散させることにしたそうだ。
 「それでたのんだ霊媒師が、幽霊だったのよ」
 彼曰くそれが餅は餅屋、という言葉の正体、幽霊は幽霊に解決させるのが一番、頼んだ通りにそのアパート中の幽霊をおっぱらってくれたらしい、詳しくきくと彼の言葉、餅は餅屋、幽霊は幽霊屋、というのは彼の知り合いの言葉らしく、実際彼は幽霊に接触して頼んだわけではなく、ある知人が、幽霊に対する詳しい知識をもっていて、少し電波な人らしいのだが、結局のところその知人が何かしらの儀式を行って解決したらしい、あまり覚えてはいないといっていたが、たまにアパートにきてはお経のようなものを呼んでいた、らしい。お題はもちろん彼に払ったわけで、自分がそのことを訪ねると。
 「餅は餅屋、幽霊に謝礼を払わなければ呪われるのは彼だ」
 といっていて少し納得をしたのだった。

幽霊は幽霊屋

幽霊は幽霊屋

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-10-01

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