喜ばない理由

 「まだ育成途中ですが……」
 夜のレストラン、月を影におしゃれな白いテーブルクロス、透明な机を挟み向かい合う二人、椅子も透明だった、丁寧に守られた食事マナー、お店の人間も関心していた、食事のあとごそごそと、男が恋人に月の花を手渡した。
 「まだ指輪ではないんだけど、それに育成途中だし」
 「ありがとう」
 恋人はわらった、しかし内面恋人は喜ばなかった、それは月の花が巨大だという事もあるのだが、恋人は別の事を考えていた。
(この人と私の体格差、もし、仮に一緒に暮らす事になったとして、うまくやっていけるだろうか、食器だとかそういうものとかは)
 月の重力の関係で、男は数年間の月での暮らしの中で、巨大化してしまった、そして月の花がどういう意味を持つのか恋人はしっていた。月の花は、月の開拓の際に使われ、その強靭な生命力でしられている、食虫植物などというものではなく、食動物植物なのだ、もし丁寧に手入れをしなかったら、時に人間の一部さえ食べる事もある、ずぼらな彼女は、彼と別かれる事を決めた。

喜ばない理由

喜ばない理由

sf×月×恋人

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-10-01

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted