火星宇宙人とガラパゴス
遠い未来の出来事、そのころ、人類のほとんどは火星に移住し、多少の紛争もあったが、様々な国がうまれ、おいて朽ちていく地球よりも発展してはや何百年もたった。空気も自然も正常化され、地球人の生活に合うようになり火星の歴史が深まってきたとき、ある港町でタコの様な顔つきの、体つきのそれよりすこし堅い表皮を持つ火星人が、旧型ロケットの救助ボートの中から見つかった。
「これは初期型の火星人だ、なぜこんなところにいたんだ」
表面はドラム型洗濯機のガラス面のようになっていて、その下側にはそれは製造年月日が描かれていて、火星歴は20年ごろ、中の火星人が冷凍睡眠をしていた。発見時は火星歴200年だった。
「これも初期型のポットだ」
調べたところ、その旧型ロケットと救助ボートの使われたのが、爆速探検隊と呼ばれた宇宙探査実験だという事だった。初期のころ、地球との間をやりとりするのにそのころの科学力でどのくらいの時間がかかるかという実験があった。それが帰還する間に、この火星はもう何百年というときがたち、ロケットだけは高速で進み続けたので、時間にずれが生じたのだった。発見者たちはそれを知ったとき、その発見に愕きを隠さなかった。
「この火星人さんはつい最近帰還したばかりだったのか」
火星人はごく初期につくられた人造人間、現代の火星では全人口の1%にもみたない、とはいえその日の新聞の見出しでは、おおいに彼等の存在に注目があつまり、巷の議論がにぎわった。
「昔のSF小説からは考えられないだろう、まさか、地球人が火星人をつくり、火星で発見する事になるとはな」
火星宇宙人とガラパゴス