亡霊ネット

 近頃肉体や、五感さえもネットに接続できるようになった、そして、ネットを見てな毎日感動に涙を流す人がいる。そういう人のために、この話は生まれた、ネットに肉体をつなげたまま、自殺する老人が昨今増えている。夢を見ながら、過去を思い出しながら、幸せに死んでいる、だが大変なのは、業者や警察なのだ、老人、老いた心、彼等は幸福の中で、現実の肉体がミイラのように朽ち果てるのを忘れている、絶対的な幸福を探すのと同時に、それが存在しない事をしっている、だから真逆の絶望を探し続けてる、苦しみぬくことを選びつづけてる。
 インターネット界の新しい英雄は、今日も、まどろっこしい胡散臭い言葉を吐いて、夢や希望ばかりを語る。孤独な人間は、長い夢の中の寂しい池のほとりに、意識はいつもとりのこされている、孤独の埋め合わせは簡単にはできない、孤独を作るのは自分だ、自分が特殊であることを選んだ人間だ。
 肉体とネットがつながってからも、現実の涙は枯れる事をしらない、いくら現実を忘れ、食べることも飲むこともせず、ただ自分が死んでいくのを、現実逃避でまぎらわしても、彼等の心は死を選んでいる、だから他者とかかわらず、その肉体が朽ちるまでネットをさまよう、さまよう理由を忘れ、自分の本当の姿をしる事もできなず、心は孤独を作り続ける、その発端は自殺を選んだ自分。たとえ、その最中に死んでも、魂はしばらくデータとしてその中をさまようという、自分が亡霊である事を隠し続けながら、インターネットで他者と触れ合う、亡霊なのに、ネットを利用する、亡霊はそこら中にいる、亡霊には、インターネット上で孤独の埋め合わせをする事は不可能だ。 
 亡霊は孤独を知っている。亡霊は自分が死んだことを否定する、自分を殺したのは自分だ、だからそれは地縛霊だ。そこから逃げ出すことはできない。そういう地縛霊はインターネットに居座っていつもインターネットを利用する若者を覗き見ている、インターネットのどこに憧れ、絶望しても、亡霊は亡霊であるまま、何も得る事はないし、得るつもりもない。

亡霊ネット

亡霊ネット

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-09-29

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