もてあます特技

 いつからだろう、その能力が目覚め、そしてそれから使いはじめたのは、
「お前、走るの苦手じゃなかったっけ?」
「ああ、うん」
 高校の陸上部、急に足が速くなった俺を怪しんだのは、俺の親友だった、それはあるヒーローとの出会いがきっかけだったかもしれない。
「力の使い方を覚えなさい」
 全身真っ赤のどこぞのアメコミのようなスーツをきていて、軽快な動きをする能力者、そして俺に能力の使い方を教えてくれた人、俺は“水”を操る能力をもった、それからというものの体の中を循環する水の使い方もよく覚えた。
「大丈夫か?」
 親友は、俺の能力の事もしらない、そして俺が、同性を好む趣味、傾向を持つことも、たった一人、親友の事を好きな事も。師匠たる能力者はいった。
「あなたは、弱いから能力をもったのよ、強くなれば、あなたにそれは必要ない」
 俺は、弱いくせに負けず嫌いだった、なぜだかこいつに負けているのも癪だった、それにすぐ泣く癖がある、こいつより本当の意味で早く走れるようになったら、きっと、この能力に頼る必要もなくなる。

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もてあます特技

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-09-28

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