ダダダダ

 ダダダダ。爽快なリズムの足音がする、長い鋼鉄の廊下を走っていく、地面は冷たく、窓もない、ただ高いだけだ、動物や虫の影も形もない。
「逃げなきゃ、早く逃げなきゃ」
 後ろから追って来るのは、連続殺人鬼だ。なぜだかその正体を自分だけが知っている。けれど、自分は殺人鬼に、とてもおしゃべりで約束を守れない人間だという事もすっかり見通されている、なぜなら連続殺人鬼は、身近な存在なのだから、
「殺人鬼は誰だ」
 ここで死ぬのは惜しいのだ。なぜなら、その人の名前を思い出せないのだから。
 そこで少女は目を覚ました、母の優しい顔が見えた、母が自分のヘルメット型の電脳コントローラーを頭から外していたのだ。
「もう、どれだけやってるの、やりすぎは禁物よ」
 このソフトウェアは近頃話題の教訓ソフトウェア、その人物の欠点を夢による暗示によって、潜在意識化から呼び覚まし、アトラクションとして提供する。彼女が目を覚ましたとき、夢の中の殺人鬼の正体に気がついた、目の前の人物だった。

ダダダダ

ダダダダ

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-09-27

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