無才能メカ
青い塀で囲まれたスクラップ工場で動きまわるメカがいた、ずさんな管理体制でそこには人の影もない。蘇生させては、スクラップされるロボットたち、繰り返される生と死、紛れ込んだそのメカは、旧世代式の蘇生メカ、人間たちは、バグの芽生えたアンドロイドを全て始末した、けれどその蘇生メカは、あえてそれを選んで蘇生させる、彼もまた処分される予定だったのだが、彼はとてもよくできていて、自分さえも蘇生させてしまうので、スクラップになる以前に、死なないようにいくつもの複製をつくっていた。その複製をあつめて、また一つの機械となって、アンドロイドたちの死体置き場で動き回るのだ。アンドロイドたちは、生き返っては死んでいく、まるでゾンビの様なアンドロイド、まれに2、3匹逃げ出して人間の社会に紛れ込む。
「生き残れば、二度と死ぬことも生きる事もしなくていい」
そこで生き返ったアンドロイドたちの記憶に刻まれていたのは、物理的な情報ではなく、死と生に対する恐怖。それによって彼等は、生涯彼らの肉体が機械であることを知られるわけにはいかない。
無才能メカ