【村上凛先生】【新作発売決定記念】
こんにちは、オタリアです。今回は「おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ!」の著者である村上凛先生の新作発売が決定した記念に、記念掌編を執筆しました。どうぞよろしくお願いいたします。
二年越しの夢
段々と肌寒くなり、夕日も足早に沈み始めるようになった九月下旬の、とある休日。
柏田直輝は、リビングでパソコンとにらめっこしていた。前日までに終わらなかった仕事を片付けるため。そして、編集者という立場上、様々な作家などと連絡を取り合うためでもあった。
時刻は正午をわずかにすぎた頃。
仕事がひと段落したところで、直輝はパソコンから目を離して大きく伸びをした。
そして、誰もいないリビングを見渡す。直輝の妻である『柏田桃』は、今日の夕食の買い物に出かけているのだ。何でも車で一時間のアウトレットモールに向かったらしいが、そろそろ帰ってきてもいいはずである。
直輝がそんなことを考えた矢先、玄関の鍵が音を立てた。しばらくして、リビングへの扉を開けて桃が姿をあらわした。
「ごめんねー直輝。渋滞してて遅くなっちゃった。今からお昼作るねー」
「全然大丈夫だって。俺も今仕事終わったところだから」
「おっけー。ありがとう」
手際よく食材を冷蔵庫などに収納しながらも、しっかり直輝へのスマイルを忘れない辺り、“元ギャル”といったところか。
桃お手製の昼食を食べ終え、ソファでテレビを見ながらくつろいでいた時、直輝が言葉を発した。
「あ、そういえば」
「ん? どうしたの直輝?」
「いや……今度、俺が担当している作家さんが久しぶりに新作を出す事になってさ」
「へえ。直輝もなかなかやるじゃない」
自身も小説家として活動しているために、桃の称賛の言葉には嫌味などが全く含まれていない。
「それで、その人って誰なの?」
「女性なんだけど……」
そう言って、直輝はパソコンを操作してとあるネット上の記事を表示した。
その見出しはこう書かれていた。
『“おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ!”の著者、村上凛先生の新作が発売決定!
タイトルは「同棲から始まるオタク彼女の作りかた」。今回もラブコメ作品! こうご期待!! 』
【村上凛先生】【新作発売決定記念】
今回の新作発売決定という事実を知ったとき、涙が出ました。オタリア完結時、先生は”皆様になるべく早く良いお知らせが出来るように”とおっしゃっていました。そして、今回その二年越しの夢が遂に叶いました。この気持ちをどう表現したらよいか、未だに分かりません。