冬の音楽

彼は誰かを失っても
自分の判断を振り返らなかった
その方法を知らなかった

彼はたくさん嘘をつくが
良い人間でありたいとも願った
湖のような透明に憧れていた

小さなベッドで
眠りながら音楽を聴いていると
二週間に一度だけ
脳の左側の隅っこあたりを
白くて細い指先にくすぐられた
彼は涙目になりながら笑う
"ちゃんと元気にしてた?"
小さく指先の声が聞こえる
耳からは冷たい冬の音楽が鳴る
相応しい答えを探すうちに
彼はいつも眠ってしまう

冬の音楽

冬の音楽

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-09-19

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