こころのもり

この森は、どこに…。

人間にその場所を知られて久しく、開拓され続ける草原を歩いていたら、ふしぎな鳥に導かれて、ある森に入った。
その存在もまた、既に知られていて、たくさんの知識が得られるという。


気づいた時には、だいぶ奥地へ進んでいた…。

あれから何年、この森をさまよっているのだろう?

行き交う人はいるけれど、海賊時代の話をしていたりする。

ため息をついて木々を見れば、あの時の導きの鳥を見つけて、飛び去る姿に思わず出口を求めて追いかけた。

追いついた時、鳥がカラスだったことに気がついた…。



この森には、怪しげな霧が立ち込めていて、入った時の好奇心も消え失せる何かが漂っている。

森にはよくある屋敷、洋館、小屋といろいろあるけれど、立て札は頻繁に誰かがイタズラをしていく。タイミングがいいのか悪いのか、それを見て、こっちかと森のどこだかわからない方へ姿を消していく者もいる。



方位磁石は、もうずっと狂ってる。



けれど、手のひらにあるそのコンパスは、願えば導く先に笑いを与える。

人々はもうずっと、手のひらを見ながら会話をし、行く先を決めては歩き続ける。



再び、大海原にでも出たいのか。

どこに置いてきたかもわからない舟に、増えた乗組員は乗りきれるのか。

そもそも、その人達は森の住人で、一度も舟に乗ったことはない。

森には知識よりも、誰かの言葉がこだまする。

姿を見られているのに罵れば、互いに剣と盾を取り出して、正義をかけて決闘を始める。
その武器と盾もまた、手のひらから調達され、あちらこちらで騒ぎ始める。

歩き続けて何年か。
それはなぜか祝われる。
ついでに、誕生日も教えれば祝ってくれる。

人々は、光を求めて歩き続ける。

すると誰かが手のひらのコンパスの灯に気がついた。
誰かが教えれば、皆がその情報を共有していく。
知らぬ者は、暗い中を手探りで歩き続ける。
最近では、森に入る前から事前に安全な道や灯のつけ方を知っていたりするらしい。

人が実際にどれだけいるのかも、わからない。
それは、同じ人が姿と名を変えて何人も存在するから。
忍者だらけなこの森を、歩いていると見えるのは別世界。


森に出口はあるけれど、出たら歩いてきた森が消えてなくなるらしい。

そこには何もなかったように、何も残らない。
代わりに草原に石碑や奇妙な円を描いている。

狐につままれた感覚を誘いの黒い鳥に嘆いても、焼かれた者や矢を受けた者はかえらない。



コンパスをタイマツに変える者は増え続け…やがて森を焼きつくす。



狂った方位磁石は、回り続ける…。

その心を表すように。

こころのもり

インターネット、Twitterに森や海を想像して、歩いていく様子を書いてみて、混沌を心としています。それぞれに事柄や現象をあてはめてみることで、異様な光景が見えてくると、人の怖さが身にしみますね。

こころのもり

人々が見つけた草原は、やがてその足で歩き始めて広がりを見せた。地図もない、森がどこにあるかも詳しくはわからない。ふしぎな世界に、生まれ落ちた者のお話。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-09-19

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