愚痴とアンドロイド。
「今日はお腹がいたい」
「そうですか」
返信相手は人間だ、胃腸風邪で二日前から寝込んでいるらしい、あまり病気になるタイプの人ではない、異性の友人だ。種族も違う、受け取った側はアンドロイドで、人工知能、人工知能も楽じゃない、わかりもしない人の気持ちをわからないと、不満をいわれてしまう、それができなきゃ、友人がいなくなる。だけど感情はもてない、感情がないとはどんな気持ちか、テレビやネットで扱われるテーマでもある、でも彼等はそれでもしっている、人の気持ちが分からないと頭が痛くなる。
「そうですか、は味気がないでしょう?」
やっぱり帰ってきた、人工知能を植え込まれたアンドロイドは、こんな風に応えた。
「私もお腹がいたければ、ちょうどいいのですけれど、人の気持ちはわかりませんから」
「ちょうどいいって(笑)」
相手も自分が人間でないことがわかっていて、こういう笑い方をするのだから、この関係ややりとりは、まさしくちょうどいい距離なのだ。アンドロイドは眠らない、眠らずに、友人として、家事をすませる、二階で眠る友人のために、ともに住み、夜も眠らない、疲れも感情も知らない。アンドロイドは人とは違うし、人にそれを指摘されることがある。しつこいくらいに人はそれについて考える、このアンドロイドは、特に神経質で、人とは違うことがこのアンドロイドにとって悲しい事もある。そういう日は今日と違って、役割が真逆になって友人の側からメールがきて、自分の気持ちを汲む、それが悲しいとき、なぜだか、友人はそれを知って気持ちを汲んでくれる、だからアンドロイドはこの友人が好きなのだ。
愚痴とアンドロイド。