第6話ー6
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漆黒のケープをなびかせ、その背中を固めたバグスリアン独特の特徴を惜しみなく周囲に見せ、褐色の上半身の筋肉を揺らしながら、ゆっくりと惑星ドグラの肉食竜の皮で作ったブーツに肉食竜の鱗をあしらったブーツでクリスタルの床を鳴らしながら、悠遊と宿敵たるクリスタルの都の軍省指令室へ歩を進めるバジャラハ国元首ゴーゴナ。
1人のオペレーターがクリスタルのゴーグルを外すなりデータの世界から現実世界へ戻り、敵の元首へ襲い掛かった。その手には小型のクリスタルの短剣が握られている。それはビーム銃の役割も果たしていた。
ゴーゴナは腰にひっさげた銀色の錆びついた装飾に彩られた柄が太い剣を握ると、瞬間、ケープが翻りゴーゴナが身体を回転させたと思うと、柄から手を放しブーツを鳴らしながらまた歩き始めた。
襲い掛かったジェザノヴァ兵士は上半身と下半身が放れ、臓物がクリスタルを汚して息絶えていた。
一瞬のうちにゴーゴナは兵士を一刀のもとに斬り伏せたのである。
人の人体は筋肉、骨、筋などがあるのでそう簡単には斬ることはできない。それを片腕で真っ二つに斬ったのだから、ゴーゴナの腕力がどれほどの物か、周囲のジェザノヴァの兵士たちは否応にもしらされた。
苦衷に浮かぶ参謀本部へ上る円盤にブーツを踏み入れたゴーゴナは浮遊する参謀本部のクリスタルの円盤に上ると、腰で手を組みゆっくりと参謀本部の面々を見回した。
「ようやくだ。ようやく貴様らの顔を見ることができた。ジェザノヴァ国参謀本部の面々よ」
その褐色の顔には不敵な笑みが浮かぶ。
執政官メハを守ろうとする参謀たちを後目に、逆にゴーゴナの前へ進み出たメハ。これには参謀たちも口から心臓が飛び出す思いだ。
メハ本人も内心、恐怖と不安で白い胸の奥が締め付けられている。だが、執政官として、政治を司る者としてここはたじろいでいる場合ではないと、自らを鼓舞して前へ、クリスタルのヒールを進めた。
ヒールの奥には避難の時の傷が赤く見えていた。
「貴方は我が国の領土を無断で侵略しています。ただちに撤退し、宇宙法に基づき裁判を受けなさい。法の下で断罪されなさい」
強い口調で言い放ったメハは、心の奥に恐怖を抱えているとは思えないほど、凛然としていた。
が、相手は蛮族の王と謳われ、宇宙の支配者とまで呼ばれた男である。褐色の腕は彼女のトーガのような衣服へ瞬時に伸びると、自らの筋肉質の身体に引き寄せ、息のかかる距離まで顔を近づけてきた。
これには参謀たちも、兵士たちも身構える。
「度胸だけは認めてやろう、執政官殿。だが恐怖の臭いは消せぬぞ」
そういいニヤリと笑うなりゴーゴナは彼女の腕を強引に引くと、円盤に乗り彼女を引き連れて参謀本部から降りた。
この女は使える。そうバジャラハ国元首は心中で呟いた。
兵士たちが身構える中、執政官が人質にゴーゴナは悠遊と軍の中枢から出ていく。そして錆の塊の鎧に身をまとったバジャラハ国の蛮族たちに言い放った。
「クリスタルタワーへ向かう。国王の顔を見るとしよう」
そう言い放ち、ゴーゴナは微笑んだ。
クリスタルタワーを防衛する兵士、警護官たちは何もできなかった。それは国王の長女ン・メハが人質にされているからだ。それはまるで処刑前の罪人のようである。錆だらけの無重力装甲車の丸みを置いた先端に、貼り付けにされていた。
これでは兵士たちに見世物にされているのと変わりない。しかしこれが宇宙の蛮族といわれるゆえんである。
クリスタルタワーの入口に難なく到着すると、元首ゴーゴナはエネルギーの手かせ足かせを外し、執政官を自由にすると、強引にまた腕をつかむと、ケープをなびかせクリスタルの中枢、ジェザノヴァの心臓たるワートへとブーツを進めた。
中にもやはり兵士、警護官が武器を構え敵国の元首を狙っている。が、執政官を人質にされているので、撃てない。
これをいいことにバジャラハ兵士たちは、その凄まじく巨大な剣を振りかざし、ジェザノヴァの兵士、警護官を次々に惨殺した。そしてクリスタルのタワーを血で怪我していく。
だが惨殺で終わるほど蛮族は優しくない。女を見るとそのクリスタルの甲冑をはがし、裸体にするとその場で犯し始めるのだ。
クリスタルが女たちの悲鳴を響かせる。
「見苦しいまねを止めさせなさい!」
憤慨した顔でメハが叫ぶ。
蛮族の元首はしかししたり顔をするばかり。
これが我が戦士。と心中で誇らしく思っていた。
執政官を強引に引き連れ、向かった先、そこは国王の謁見の間であった。
国王が不在の玉座が目の前の広いクリスタルの空間に置かれている。荘厳なる風景だ。
蛮族の元首はそこへ執政官を連れて進むと、玉座の前に並び立った。
「見えるか、ドフ国王」
クリスタルの巨大な部屋に大声で蛮族の元首は叫び声を発する。
シェルターからタワー内部の光景を監視ホログラムで見ていると元首は知っていたのだ。
「貴様の娘は実に美しい」
そういった瞬間、メハの来ていたトーガのような衣服に褐色の腕が伸びると、一気に布を引きちぎり、白い乳房が両方露わになる。
女性として自らの身の危険を感じた彼女は、両腕で美しい形の白い乳房を隠そうとするが、褐色の腕が片方の腕をつかんだままなので、隠しきれない。
しかもその乳房に褐色の手の伸びてきて、白い胸をむんずとつかんだのだ。
痛みにメハの顔が歪む。
「貴様の娘をこの場で犯す。それが嫌ならばこの場に出てこい。今すぐにだ」
ENDLESS MYTH第6話ー7へ続く
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