あなたに心臓を握りつぶされる。

あなたは、私に言う。

「俺がいないと生きていけないようにしてやる。」

初めて会った時、つまんで投げ返した。

初めて体を重ねた日、チクッと刺さった。

初めて突き放された日、重くのしかかった。


誰のことも信じたくない。
誰のことも頼りたくない。

そんな私だったのに。
あなたが駆け引きをするから、
転がされたの。

吸い込まれるような瞳。
タバコと石鹸の混じった匂い。
少しチクッとする髭。
私の頰を撫でる大きな手。

思い出そうとしなくても、体が全部を覚えてる。

ねぇ。
人に背負わせた言葉には責任を持ちなさい。

なぜ、死んだの。

あなたがいなければ、私も死ぬしかないじゃない。

待ってて。

あなたに心臓を握りつぶされる。

あなたに心臓を握りつぶされる。

  • 小説
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  • 青年向け
更新日
登録日
2018-09-13

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