顔ゑション

雨宮吾子

 冬の間しか知らなかったあなたは
 夏の顔を見せる前に私の前から去っていった
 顔を天に突き出して綿雪を浴びるあなたは知っていても
 アブラゼミの喧しいベンチで横になるあなたは知らない
 ベッドに染み付いたあなたの体温は知っていても
 湿気に汗ばんだあなたの匂いは知らない
 どこへ行けばあなたに会えるのだろう
 どこへ行けばあなたと話せるのだろう
 私もまだ雪解けの顔を見せていないのに

顔ゑション

顔ゑション

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-09-13

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