僕の特技を紹介します。

 超能力が目覚めたのは昨日の事です、こういうと驚かれるでしょうが本当の事です、こういう出だしでおかしいとは思います、ですがもし信じて頂けるのなら、その方にだけこのばかげた超能力の話をして、伝えたいと思うのです。

 それは過去を遡る能力です、僕の両親は事故でなくなりました、それから僕は目がさめたときには、両親の想いでの半分を失っていました。鮮明に覚えていたのは、事故当時の事だけです、事故はすさまじいものでした。
「わーい、わーい」
とはしゃぎまわる僕、ロープウェーです、点検のかかりの人を遮って僕が走っていきます、その後、ロープウェーは動きました、鮮明に思い出されます、記憶よりも強く、超能力を今起きたことのように感じます。点検のかかりの人は、児童に対して偏執的な感情をもっていました、にっこりとわらいます、それは純粋な愛情でした、それ自体は問題がなかったのです、ですが彼は、事故を起こしました、彼が点検していればよかったのです。ロープウェーはちょうど真ん中に差し掛かったころ、真冬のがけ下へ転落しました。奇跡的に助かったのはほかの人がクッションになってくれた一人の子供、そう、助かったのは僕一人だけでした。

 僕は超能力なんてなくても、その時の事は覚えています、その係員がわるかったということも、僕がはしゃぎまわっていたことも、でもすべての事が記憶に残っているわけではない、係員の偏執的な愛情や、その物忘れ癖、僕をみつめていたこと、それは覚えていなかった、だから……。
 僕は超能力を恨みます。僕の心と体を苦しめてやまない、あの絶望的な大事故、この能力がなければ、その犯人まで、しる事はなかったのですから。

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事故と超能力のお話です。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-09-13

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