漂泊

雨宮吾子

 真贋というと
 本物か贋物のどちらかしかないように思えるが
 そのどちらでもない(あわい)にいる彼らは何者なのだろうか
 春になれば陽気を浴びに街へ出る人々も
 秋になれば落ち葉を踏みしめ踏みしめ帰路につく人々も
 私の見えないところで彼らは確りと生きている
 人が人として生きていればどちらでも構わないんじゃないのか

 ところで彼らを眺める私は何者か
 自分だけは何者でもないという涼しい顔で
 いつか彼らに虚を見抜かれるのを恐れながら
 今も未確定のままでありたいと願って

漂泊

漂泊

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-09-11

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