対立の無限構造。

 好きで覗いたんだろう?頭の奥に声がする、そうだろうか。僕は、その秘密を好きで覗いたのだろうか?彼とは学校であったときしか、ほとんど話はしない、ただ有名なモデルという事はしっていたし、だけど、僕はただ、彼のマネをしたくて、裏アカウントのうわさをかぎつけた。

 だけどいつからだ、こちらが覗いている事に気づき、あちらからアプローチがあったのは、SNSの裏カウント、彼はいつしか僕の存在に気づき、僕のログに気づき、それを学校にふりまいた、彼は学校であうとき、こういった。

「アカウントを消したね、もし、これ以上の事をしたら、こんなものじゃすまないよ」

 自分が正しいと言っているうちは正しいものの側にいると感じるのが人の常。ルール、人気、地位、態度。
それでもすべてが正しいわけじゃないから。自分と違うものを覗き見るときに、正しくない事は、自分の世界がすべてだと思わないこと。何もかも分かっているつもりで、そういう人には何もわからない。すべてのヒエラルキーはフラクタル構造。真似をしようとしてできるわけじゃない。ヒエラルキには犠牲がともない、上澄みの人々が存在している。だから、違うと思う存在とは、密接にかかわらないに限る。残念ながら、すべてのグループにはそれが存在する。理解を得ようとか、理解をしようとか、それ自体が無駄な事で、ただ単に、そういう風に存在しているというだけの事だから。

 必要以上に覗くとき、貴方は覗かれている事に気づく事でしょう、だけど、覗かれただけだ。僕は、悪意によって切り取られた僕の裏アカウントのログを人質にとられ、あるいは、その一面だけをもって“僕”という存在のレッテルをはられ、転校を決意した。そして僕は、相手にもそれを貼っていたことを、後悔した。ただ、それを、彼と同じような悪意にして、公開しようと思わなかっただけで。彼は、偽の旗を立て、スケープゴートを作った。僕は覗いただけだ、彼は、武器をもった。だから僕は、悪質じゃない。彼は浮気をしていたのだ。

対立の無限構造。

対立の無限構造。

深淵を覗くとき、深淵もまた。覗きます。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-09-09

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