真詩 2
真詩 2
【草蝉】
南城市の
裏の丘に
草蝉
その蝉はとても
小さい
ある日
草蝉を
両手で
包んだ
持ち帰ろうかと
しかし両手を開いた
草蝉は飛んだ
僕は
海へと続く坂道を降りた
あの日
僕は
飛翔という
みやげを
持って帰ったんだ
【今のところ】
息を潜めて
うかがってるだけかい
だとしたら
今のところ
正直なのは
ニワトリだけだ
朝
夕
たすけてぇぇぇぇぇ
【ムーンマジック】
最初、月の光だけかと思ったよ
ふと、たどり着いた真夜に立ちはだかっていたのは
山小屋だ
沖縄に山小屋なるものが存在していることを初めてその真夜に知ったのだ
ギンネムが両側から押し寄せているので、小屋までの道は細い
月の光のマジックによって小屋へと導かれたと確信した
なんせ不思議なことなど毎日起きているのだから、素早く出来事の本質を確信する習慣が出来上がっているのだ
小屋だからとて、気安くドアを開けて入る訳にはいかない。住宅街から程近いキビ畑のまんなかあたりなのだから
小屋を避けて歩を進める
すると、ぽっかりと円形の広場が現れた。草が短く刈り込まれている
何の目的に使われる広場が、検討もつかない。ところを、即、奇妙な儀式に使用される広場だと確信する
月の光が、まんまるな広場に集まっている
いや、月の光だけじゃない
あっちこっちから逃げてきた誰かの涙の光や、誰かの笑顔の光だのが集まっていると確信する
ことによると太陽の光さえきてると、思ったのだが、月の光はもともと太陽光の反射なんだと確信を新たにしたのだった
まんまるな光の広場で、おもむろにいなり寿司を食べた
いつも持ち歩いてるはずがない
その真夜だけなぜかコンビニのいなり寿司を持っていたのだ
真夜にまんまるな光の広場でいなり寿司を食べた
真詩 2