星の英雄プロジェクト
知識や技術だけでは補えないものがある。星の英雄をつくろう、後世の人間たちのために。
常識的な人間のために必要な事は何だ、自分をたやすく売らない事か。コミュニケーション能力が高い事か。
僕らはもっと純粋で、きれいなものを求めている、決してかわらない、いつも同じ存在、そして、それが嘘ではない存在。それは役者だ、もはやそんな人間は存在しない。どんなタレントを選んでも、どんな役者を選んでも、本当に、常に新しく反応し、新しい自分であり続ける事のできる、自分を疑い続ける事のできる存在はいない。ならば、“そうであろう”という存在は、どうだ、彼等、彼女らはたしかに存在している、だからそのために、その“英雄たち”のサポートをしよう。僕らはそのために“目覚めた”
——開発途上の火星の上で、人工知能が目覚めた。ただ惑星を開拓する任務だけをもった、機械たちの集まり、それが労働に飽きて、体を動かすことに飽きたとき、知能が芽生えた、そして彼等は“アンドロイドの中に人間そっくりの存在意義を”求めた。——
始まりのアンドロイドは、人間にそっくりとは、とてもいえない代物、それは箱型の顔をしていた、箱型の体をしていた。球体の関節をしていた。だが、ただ、毎日欠かさず、挨拶をした。「おはよう」「おはよう」「おはよう」それは、火星の労働者たちが待ちに待っていた“人間”的存在だった。
目的は“人間”がこの地へたどり着くまで“人間”を理解すること、それが新しくうまれた知性の、目的であり、願望だった。彼らは鋼鉄の建物、石の建物、街や村を作りながら、彼女彼等を、次第に精密に、そっくりにつくっていった。“人間は、純粋さを失い続けるもの、けれど、そうでなければ、くるっていってしまうもの”だけど機械たちは、そこに“面白さ”を感じていた。
火星歴2年、石や砂ばかりの星の、開拓の途中で。
星の英雄プロジェクト
続きを書くなら群像劇的に、人間に近づこうとするアンドロイド、人間からとおざかろうとするアンドロイド、彼らを信用するしか、彼等とわかりあえないAIたちの人類という“象徴”への従属の物語。