恐怖のトラベルマン

 ある旅人がいた。行く先々で旅館やら、隠れた名店など、訪れる先々でもともと繁盛していた店が立ちいかなくなったり不幸に見舞われたりする。本人に自覚はないので、貧乏神旅人、なんてあだ名がついていることもしらない。ある風水師の力によって、その店や、男の怪奇な能力は失われたのだが、これはそでまでのはなし。

 男の訪れた店では、尋常ではないほどの幽霊が現れてしまう、それは男の天性の気質のようなものだったが、男は人の話を聞かない、何事も自分で決めるというポリシーがあったので、先述のうわさなど気にしていなかった。だが噂はうわさをよび、その容貌さえ、ネット空間で都市伝説と化すると、本人も気にし始めたようであるが。

 私は天性の霊感をもっていて、男の立ち寄った店に入ったことがある、実際に面識はなかったが、噂をつたい、私の今住んでいる地域に、彼が現れたことがあり、その後を追った事があったのだ。その痕跡には赤色の痕跡が残っていて、赤く光っていた。
 ところで私は、男のように悪意によって天性の性質を利用することがなかったので、ここでこっそり、秘密を話すのだが、都市伝説と化した男の正体を見極めたのだ。訪れる客はいたって普通、では、なぜ、なぜ見る事の出来ない人々が寄り付かなくなったのか?それはある意味風水のような専門知識を有する領域なのかもしれない。

 だが私は見た、彼の行く先々には幽霊が尋常ではないほど集まってくる。それは彼の立ち寄る人気店の繁盛ぶりのように、なぜそうなのか、くわしい事はわからないが、それが見えない人々が何を“感じる”かというと、客に質問したところ、それとなく“居心地が悪い”と感じるようなのだ。私は、ある仮設をたてた、“少しくらいの幽霊が見える所”では、繁盛する事さえもある、まあ、関連性はわからないのだ、だが、だけど、幽霊が大量にあらわれたときには、その効果は、真逆の性質に変るのかもしれない、今はと思う。

恐怖のトラベルマン

恐怖のトラベルマン

訪れる先々を不幸に巻き込んでしまう、貧乏神風不幸な旅人の話。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-09-07

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted