カカシは嘘つき

 ある日、そのあたりの地域の動物たちの案内係りである。あるじいさん、婆さんの畑のカカシは、リスが訪ねてきたことに気がついた、しばらくぼーっとしていたが、リスはメスで、しだいに腹を上って、左手の上にのって、カカシの耳元でささやいた。
 「道案内をしてください」
 右へいくといいよ、カカシはリスに尋ねられてそちらを案内したが、リスの目的地は街ではなかった。リスは引き返した。だがカカシのそばをとおっても、おこって口もきかなかった。
 「森へ行きたかったのに」 
 
 また別の日、これもメスの迷い猫が、街をさがしてやってきた。
 「子供たちがいる街へ返してほしい」
 そういったが、今度は左を案内して、森へと誘導した。

 カカシは本来まじめだったが、異変をさっした子供たちは、カカシの顔がひどく汚れている事に気がついた、近くの動物や、植物が、幾日かカカシの様子をみていたがどうやら朝方、カラスにいじめられているようだった。
 「それを知らせるために、道案内をわざと間違えたのか、でもどうしていわないのか」
 この地域で一番偉い長老の老いた野良犬が、動物たちに言った。
 「彼は今は役目を与えられているが、足を動かせないので、昔から動物にいじめをうけていた、だから、自分の口でいうよりも、周りがわかってあげるといいんだ」
 彼はモグラたちをひきつれて、カカシの足のそば、斜め左後ろのあたりをほった、その下には、いくつかのかかしの顔の予備があった。それを野良犬の長老が、今の顔と交換してやると、カカシはその日から、前の様に正しい道案内をし初めだったのだった。

カカシは嘘つき

カカシは嘘つき

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-09-05

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