八木 ざくろ

終着点の話

気が付くと彼女はその場所に立っていた。

しゃらん・・・しゃらん・・・・


そんな音でも聞こえてきそうなくらい少女のいる場所はどこか儚く、現実味がない。
辺りは様々な色をしたガラス玉のようなものがふわふわと浮かんでおり、どれも淡く光を放っている。色彩の海ーそんな表現がしっくりとくる光景だ。

ー触れられるだろうか。
何気なく近くの光に手を伸ばしてみるが、光はそれを避けるかのようにふわり、と逃げた。逃げた光を目で追っていると、何故か絶対に触れなければならないという使命感にも似た思いがこみ上げ、少女は光を追いかけ始めた。

ふわり、ゆらりとまるで意思を持っているかのように光は追求の手を躱す。
少女も意地になりひたすら手を伸ばす。そうしているうちに気がつけば光の海を抜け出し、一面真っ白の何もない所へ来てしまっていた。元いた場所はすでに遠く、少女は言い表せない不安に襲われ慌てて引き返そうとするが薄いガラスのような壁に遮られ戻れない。

ーさっきまで無かったのに・・・・

どこかに抜け道はないかと壁に沿って歩いてみるが、小さな穴一つ見つからない。
試しに壁に体当たりをしてみるが、体がぶつかると同時に壁はたわんで少女を跳ね返した。途方に暮れていると、ふと彼女は今まで自分が追いかけていた光が見当たらないことに気がつき、慌てて周囲を見回した。すると、光はそう離れていないところに浮いており、彼女はほっと息をついた。

しかし、よく見るとその色は最初に見たときよりも色褪せている。
不思議に思いながらも近づいていくと、一歩進む度にどんどん色が薄くなってゆき、
伸ばせば手の届く距離まで来たときには辛うじて色がついていると分かるくらいになっていた。
ためらいながらも手を伸ばすと、今度は光は逃げなかった。
そして少女がそっと触れた瞬間、光は透明になりくるくると螺旋を描き、少女の身を
囲んでいく。囲まれた箇所は光の粒子になって消え始めた。慌てて逃げようとするが
体が動かない。足がじわじわと消えていくのを目の当たりし少女は泣き出してしまった。その涙もまた細かな粒子となって消えてゆく。為す術もないままゆっくりと体は粒子へ変わってゆき、とうとう首元まで光の螺旋が迫ってきた。


ーだ い じ ょ う ぶ

どこからか聞こえてきた声がすとん、と少女の胸に落ちる。
先ほどまでの恐れは消え、代わりに安心感と充足感で心が満たされてゆく。

ーお や す み な さ い 、 ま た あ し た



光がより煌めき、宙を舞う。
少女の姿はもうなかった。

初投稿です。自分の中でずっと書きたいと思っていたことを
ようやく目に見える形にすることができました。
嘘のようにすらすら書けました。その代わりに誤字・脱字が多いかもしれません(~_~;)

ある少女の終着点のお話

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
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CC BY-NC-SA
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