ハムスター寓話
昔々、天界の近く、精霊の住む湖のほとりに、ネズミに似た生物がたくさんすんでいました、彼等は細いことや、狭い道を通り、どんなところでも環境に適応してしまえることが自慢で、日々、強いネズミになるために、そのための競争をくりかえしていました。あるものは蓄え、あるものは走り続け、あるものは体を柔らかくするためにバレエの特訓をする毎日でした。
そんな中変わったものもいました、今ではハムスターと呼ばれる種族たちです、彼等は精霊の住む湖のほとりにどうどうと腰かけ、精霊を拝む事も恐れる事もしませんでした、それどころか、彼が決して触れるなといっていた精霊の湖のみずを毎日毎日、ねそべったり、楽しくおしゃべりしながら、口に一杯ほうばって、あまり働くこともせずくらしていました、というのもその精霊の湖の水は変わった魔法がかかっていて、それは食べ物を必要としないほどの莫大な栄養をもっていたのです、おかげで普通の生き物はすんでおらず、金ぴかの魚や。虹色の貝などがせいそくしていました。
ある日、神様がそのほとりにやってきたのですが、そのとき、精霊たちは、なにげなくネズミ類の話をしていたとき、困りものの種族がいることを神様に相談しました。神様ははじめこそわらっていましたが、あまりに精霊がこまっているので、一緒にその種類のネズミを見に行くことにしました。 「ふむ、本当に湖の水に手を出してしまったか、あれは貴重な水だ、これから世界を作るのに必要な水なのだ、勝手に触ってもらってはこまる」
ということで、神様と精霊は、大きな神殿のある木のウロの中で相談していましたが、ある精霊が、
「胃袋よりおおきなほっぺをあたえれば、たべものに興味がわくかもしれない」
といいました、その日神様はハムスターにそれを与えましたが、はじめこそ使いづらそうにしていたハムスターも、ほっぺの特徴になれると片方のほっぺたにだけ泉の水をためて、あとはほとんど動かずに生活するようになりました。
「これでは意味がない、悪くしてしまっただけだ」
神様はその日からずっと泊まり込み、精霊と一緒に何度となく、ハムスターという種族の改善のためにつくしました。
「では、強い食欲を与えよう」
3日後神様が発言し、それも実行しましたがなかなかうまくいきません。泉の水だけではなく、木の実までほほにたくわえて一日中だらだらと過ごすようになりました。これに困った神様と精霊でしたが、神様が帰らないといけないという5日後の最後になって一番としよりでかしこい精霊がいいます。
「なら、一度で蓄えられる栄養の量を制限しよう、これでほっぺたにものをためても、どこかに隠しておかなければ、生活できないぞ、ほとりではいつも我々が見張っていよう」
これがきっかけで、ハムスターは例のごとく働き者になったという事です。
ハムスター寓話