召喚士と十二の召喚石【初めての魔法】

召喚士と十二の召喚石【初めての魔法】

呪文を作るのは意外と楽しい。


 「はっ、はあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
 悠は大声を張り上げた。アクセリアがやれやれ、とでも言いたげにため息をつく。
 「あのさあ、悠。おまえさんはなんでわいに会えたんやと思う?それは悠が欲に飢えず、しかもソロモンの魔法を打ち破ったからや。違うか?ん?」
 「う・・・・」
 確かにその通りだった。魔力を持ってなきゃアクセリアに会うこともなく、ただの指輪だったはず。けれども今実際こんな目にあった。
 「け、けどさあ?じゃあ何で今まで魔法が使えなかったの?おかしいじゃん!」
 「んーじゃあさ」
 びしっと腕を上げ、机の上にあるシャーペンを指さした。
 「あのシャーペンに”ウィキアムレキシア”って言ってみい。」
 「なんで?」
 「いーからいーから。」
 むすっとしながらシャーペンに眼を向ける。
 (なんでこんなことに・・・)
 いらいらしながら大声で叫んだ。
 「ウィキアムレキシアっ!!」
 (うっ!?)
 体の底から何かが引っ張り上げられるような感覚がした。すると、次の瞬間、シャーペンがシマリスに変わった。
 「かわいい!!」
 変な気分も忘れ、リスに飛びついた。だが、シマリスはかげろうの様にして消え失せ、悠の体は机に思いっきりぶつかった。
 「イッターーーーーーー!!!」
 「はあ・・・・・」
 すとん、と音を立ててアクセリアは悠の隣に飛び降りた。
 「今度は”ロスティアーム”。痛みが消えるはずや。」
 「う・・・・ロスティアーム!!」
 ふわあっと光が空中から滑り落ちた。まるで蛇のように。光の蛇はゆっくりと悠の腕を這い、最後に頭でとぐろを巻くとスッと霧のように空中に消えた。
 「どや?痛くねーやろ?」
 「・・・・・・・・・」
 腕をぶんぶん振り回し、頭と額を触ってみたが・・・・何ともなかった。
 「全然痛くない!何で!?」
 「それは魔法やからや。」
 悠の足に前足をちょこんと乗せ、アクセリアはまじめな顔つきでしゃべり出した。
 「そろそろ自覚しろや、悠。ウィキアムレキシアもロスティアームも魔法。つまり、魔法を扱えたということはお前さんは正真正銘の魔導師っちゅーことやで。あと」
 もぞもぞと体を動かし、いごごちの良い体勢をとると悠の足の上に体を丸めた。
 「さっきの質問のことやけど、わいは知らん。自分で考えてみい。」
 くわあっとあくびをし、アクセリアは目を閉じた。
 「わいは眠いから質問はまた明日な・・・・・・・・」
 「ちょっと待って!!」
 「・・・・なんや」
 「福島さんのことなんだけど・・・あの後どうなったの?」
 「あ?あいつな、まだ取り憑かれとるで。明日またなんかなると思うから。・・・・まじでねむいんやから、んじゃな。」
 アクセリアはドラゴンの翼で体を包み、一瞬だけ白銀の光を放ち、次の時にはあの指輪に戻った。
 「結局何が何だか・・・」
 はあ、と悠はため息をついた。
 「悠ーーーーお客さんよおーーーーーー」
 お母さんの声が下から聞こえてきた。玄関から声を張り上げているのだろう。
 「誰ーーーーー??もしかしてジンーーーーー??」
 「ちがーーーーーう!!美咲ちゃんよおーーーー!!」
 背中から寒気が走った。・・・・・・岬は自らの手で、悠を仕留めにきたのだ。ただ単にジンを手に入れるため だけに。
 「今いくーーーーーー!!」
 ドアへと向かっていった。死ぬかもしれない戦いの予感を感じながら。

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召喚士と十二の召喚石【初めての魔法】

今度は悠と美咲の真剣勝負!!長ーーーーーくかこうと思っています!!

召喚士と十二の召喚石【初めての魔法】

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-03-06

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