思い出が、ふるふると鳴る
短歌十首。
雨粒の音
停まる唐突
臨終の息を
なにが巡っただろう
生きる意味が 留まる思いに問う
おまえを背負って
どこへ行くのか
春眠のまどろみ
あのころばかりが おぼろな明日を繰り返して
雨が過去を打つように聞こえる日
光と憂いに ひとを灯して
ねむいねえ
いっしょにねむろうか
届けつづけてくれた陽がまだある
明日
気持ち安らかなら
思い出のヨーグルト 思い出とならべて
思い出が
ふるふると
鳴る
やさしい日の音
きれいだから
さみしくて
目映く
青葉の波に 一人
なにも残らず 生きて 生きて 愛した
透明な
屋上の
ひと
「いつも死にたいからよ、リルにやさしいのは」
疾走
人生に手を放して
人生に手を振って 愛せたころ
思い出が、ふるふると鳴る
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