素顔のない彼女

鏡を見る、そこに映る自分の顔は正反対だ。
他人が評価をする、それに対する自分の評価は少し違っている。
モノマネをする、特に似ていないのに、自己満足で終わる。
妙な癖をつきつめる、特技にならず、飽きて終わる。

なぜいつも中途半端なのだろうか?そしてどうしようもない事を気にしているのだろうか、過去も未来もどうにもならない気がするのに、自分の顔はいくつもの軟質な特殊メイクの仮面でできていて、いくらめくっても自分の顔がない、そんな気がする。

冗談をいう、行き過ぎた冗談によって、自分のキャラクターをさらに誇張してしまう、居場所はなくなってしまう。
そもそも自分を知らないのだから、自分の居場所など初めからない、それからの自分はどうしたのだろう?仮面に名前をつけていったのだ。人に指摘するまえに、自分が知らずにつける仮面に名前を付ける事にした、だから私は、人形作家として、いくつもの仮面に、古代ギリシャ語で、感情にちなんだ名前をつけている。それは私の魂だ、私の魂を売り、私は生きている、だからこそ時に私を許し、私の、人間を偽るという悪癖を封じる事に成功している。私は常人ではない、常人でないという事を隠してはいけない、それを隠していいのは、このキャラクターをキャラクターだと完全に理解して、私の事を、まるで人形のようなものだと理解してくれる、本物の理解者、旦那の前だけである。

素顔のない彼女

素顔のない彼女

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-28

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