元祖早すぎた男。

 時代が後から追いついた。とか10年早かった、とかそういうワード、発端となったのは何で、どんな出来事があったのだろう。図書館通いをしているうちにこんな話を呼んだので、それにかこつけて話してみたいと思う。

 時は西暦3001年。電脳空間にて肉体労働をしているある青年がいた、彼は16歳、ジョン、サディという名前、毎日日雇い労働で生計をたてていた。なにより、電脳空間は、現実社会よりも生活をしていくのが大変なのだ。彼は突如として、一時期現実からも電脳空間からもその意識を無くしてしまったのだったが、というのも、その彼の意識は、意識だけが別世界へ飛ばされたのだったが、それはいったいどの世界へ飛んでいたのか、というと。実は、彼は過去へと飛んでいたのだ。3001年といえば丁度、電脳世界での電子化された意識そのもの、そのものだけをタイムスリップを行う事はできないか、という研究が行われていたころで、それは量子テレポーテーションといった技術により、各国の科学者、学術機関、大学や研究所がその方法を模索していたころだった。

 くしくも彼はその実験の最中の、思わぬ成功によって過去へタイムスリップした最初の人類になったのだった、それは、“偽の最初の人類”があらわれてから10年ののちに発覚するのだったが、これが冒頭の話にも関係がある、もし、初めてタイムスリップした人類が本当に10年もタイムスリップしていて、それによって例のワードが完成したのだとしたら、彼はすでに過去との対話や、過去に未来の情報を流す事を、なんの罪悪感もなしに成功したという事になる。

 それはおいておいて、補足の話にうつろう、彼の意識はというと、ある人間の中にはいり、二重人格のような状態を形成していた。彼は2700年代にタイムスリップしていた。歴史をたどってみると、それはちょうどアンドロイドと人間との共存や、人間の頭脳の機械化が、倫理的に社会的に許容され始めた時期でもあった。そうなのだ、彼の意識は互換性がある、丁度人間が電脳世界へめざめ、あるいは自身の体やその一部を完全に機械に代替化し始めたころに、タイムスリップしたのだ。

 そうすると量子テレポーテーションの話とはあまり矛盾がないように思える、らしいが詳しい事はむつかしい話しだしわからないので割愛する。ともかくとして、いわゆる彼はある有名なヨーロッパの国立大学教授の(この辺は濁したい)中に一つの人格として1年ほど実態をもっていた、そのころ丁度彼は、奇行がめだち、ほとんど狂人と化していたのだが、やがて、その彼がとりついた一年の間にノーベル賞物の発見をしたのだ、それが、つまり量子テレポーテーションの発展型のタイムマシンの研究、いわゆる、人間の意識だけを過去へ転送する方法だった、つまりこの“10年早すぎた男”は何の因果か、ある時代をつくり、彼が巻き込まれた一連の出来事すべてにおいて、歴史の証人となり、体感し、あるいは影響を与えていた事になる、しかし彼の特性とはなんだったのだろうか?本人いわく、彼の特性とは。
“のんびりしている事”
らしい、とても興味深い話しだったのでお昼時ののんびりした時間という事もあって、話しておこうとおもったのだ。ああ、この記事自体も量子テレポーテーションによって過去へ転送しておいてあるので、割愛した部分や濁してある情報にはご理解していただきたく思う。

元祖早すぎた男。

元祖早すぎた男。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-27

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