生まれ変わる

生まれ変わる

私は一体何でできているのでしょうか。私を持ちもう一度大空に飛ばしてくれるのなら、人生はどれだけ嬉しいのでしょう。
私はまだ知らない、神をもまだ知らない、人生至上で一番美しい女性らしさを持ったあなたに救われた。私はあなたを求めてしまうのです。
そんなにも私を求めないで、私より他にいい女性がいるはずだわ。希望の金色のローブを美しくはためかすあなたは、優しくしっとりとその美しい瞳でじっと私を見つめている。
神があなたのその家系図に宿る正真正銘の原子は一体何でできているのかをそっと教えるのです。
芸妓のあなたは一体どこから来たのですか。可憐な芸妓として世界を美しく中枢していく。この世界のときめき感をそんなにもさりげなくまとうあなた。そんな嘘はつかないで下さい。
芸を磨く女性の一生懸命な向上心は生死すれすれに薄らいで存在しない臨終的な幻影の中で、私はぎりぎりで死んでもいいのではないか。
あなたを女にしなければならないこの宿命に、一輪の空を舞う人生の蓮の花は一度だけしか咲くことができない可哀想な人生でした。
あなたは辛かったのですね。さぞかし、辛かったでしょう。苦しかったでしょう。ああ、一人で孤独に死んでいったのですね。
その時にあなたは人生についてどのような結論を解答したのですか。
私とあなたは地球上で一番可哀想な人間なのです。その時そこにいたなら助けてあげたのに、私はその時一緒に死んであげたのに。
私達は生きるか死ぬかのどちらかを選択していた。男と女は生死を選択する慕情の中にうずくまっていた。
新しい子供ができましたと私は生まれない方が良かったのか。
私には生きている意味なんてないの。
私にも死なせて下さい。あなたと一緒に死なせて下さい。生命の力が弱まり薄らいでいるのだわ、命が無くなっていくのがわかるの、でも私死なないの、でもあの赤い彼岸花があの世にそっと招くのだわ。レクイエムを歌って下さい、お願いします。
この世では無くなる不可思議な浮遊感の中に、あの世に無くなり薄められていく生命感。もう全てはどうでもいいのです。人生で夢を持ちましたけれど、うまく叶えられないのが人生だと教えられた。この真理は、誠実な母性愛を持つ母から子に対する解答なのでしょうか。
でも私の素晴らしい人生の傑作の解答を、こんなにも神は愛していたのですわ。
そして地球の全ての草花が生命の存在を確実なものへと讃えて、各々が優雅で軽やかに女神へと転生していく極めて美しき叙情。
私の中に自然がとてつもなく巨大な意志でサイクルを環して流れていく。自然はゆったりと大きく、本当にスムーズに流れて動いていくのだわ。
あなた、泣かないで。自然は生と死を許容し、この世界を美しく変身させていくのですから。私の中の自然は自然のままで自然でいさせて下さい。人間が理解できない神の愛を感覚化している神秘な領域で予言的な心身の治癒を受けて、私はただただ感動するしかないのです。
こんなにも生命の存在とはどのように神の御言葉によって、頂上的な運命の幸福への契約を結ばなくてはならないのか。
人生の生死の巡礼へ、エルサレムよ、悲しい苦行の後には必ず復活の喜びがある事を知ったのです。神の慈悲によって生命は肯定されなければ死んだ少女の魂はうかばれない。少女はこの世で生きた意味があったのですから。どうかそれを再び確認させてくれますか。
私と少女の人生はもう死んでいるのでしょうか。とっくに私達は死んでいたのでしょう。
生きて死ぬ、死んで再び生きる、輪廻転生する人間とはこの生死の繰り返しなのです。さあ、希望を持って生きていきましょう。
さあ、私の心は今生き返るのです。宇宙のダイナミックな生と死の営みが今の私にははっきりとわかります。
ああ、本当に神の手の中で生まれていきます。そして私の手に至上の神の手が触れている、何という生命が死から生還しているのです。
あなたは生誕した日の母親の表情を知っていますか。母親はこの世であなたの心身を身ごもって下さったのです。
そしてこのマリアは母親になったのです。このめでたい受胎告知をあなたには理解できていますか。
大人の女性となって神の次元へと昇っていったあのマリアは、生まれた時から神に愛されていたのではないかしら。自分の子が生まれる間際にマリアは一体何を想うのでしょうか。
マリアのテレパシーは我が子の意志を交換していたのです。
もう私はこの世界の現実を信じなくてもいいのです。マリアだけを信じていけばいいのです。私にはできなかった受胎の奇跡がマリアにはできた、不可思議な生命のこの意味がわかる時はいつしか来るのでしょうか。
そしてマリアは生と死を循環させて新たな生命の創造を行うのです。
何てマリアは一人の我が子を宿した母親へと変身していくのでしょう。私は初めてこの世に生誕して認知され、ああ、マリアが私のそばにいるのです。
神は生命が生誕する意味を私に啓示した。未来の人生とはこのようなごく当たり前の小さな幸せの積み重ねだったのです。こんなにも私は産まれて生きている意味があったのです。本当になぜこんな美しい時空の中に私はいるのでしょうか。死んで復活させて下さいました。
私は確かに今ここにいました。あなたも今ここにいました。ああ、私達二人だけの世界はなんて美しいのでしょう。

生まれ変わる

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-26

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