青いさざ波

青いさざ波

あなたに青春の青い世界のさざ波が満ちていくのを、その美しい心の移ろいと共に、そのひそやかな青い憧憬へと環っていくのだわ。
あなたの青春は不思議に昔からずっとそこにある母なる故郷でした。娘が純朴な一筋のきらめきを感じた世界は青い海のさざ波に溶けて、少女は初めて大人になったのです。
少女は初めて大人になる営みを知っていたのですか。
照れてあどけなく微笑する少女のその女の心の移ろいに、妙神の紫陽花が秘密めいた知識を結集させて、ほのかな女の色気は大人の微笑をほころばせ、この世界が満ちて花びらがひらひらと宙に美しい浮遊性を獲得し、見事な対称性を得たのです。
やんわりと身軽さを得た乙女の若くあどけない純心な青春の心の飛行で、そっと私を支えて下さい、そして私は初めて飛ぶのです。
この私の飛行は人生の様々な苦しみから全解放された、この安らぎ、さわやかさ、あなたにはわかりますかこの清純な心を。
私は鳥になってあなたを幸せにして、もっと人間の心が満ちていく自然に身を任せる人生の満潮、時の無常は儚くは散っていくという生命の真理を教えるのです。
私はこの神の真理を見つけてそっと一人だけひそやかに喜ぶのです。私だけが知っている事、そう、この世界で私だけが知っているのよ。私の手にしたもの、誰にも教えないから。
こんなところにうわっ、幸せを見つけた。ほらっ、こんな所にもまた新しい幸せがありましたわ。
この天に伸びる大きな木が柔らかくしなるように、しっかりと己の人生を実直で健気にしなやかにやっていきましょう。
あなたにはこの秘密は教えない。私が小さな種から立派に葉の生い茂る大木へと育てた植物の生態を教育する先生となった。生きている景色は愉快な叙情の中に全てのお経の響きで解脱していった。そんな事で私はしなやかにほってりとして麗しい浄土へのお使いとなった。
そしてそっとお先祖様に優しく溶けていくように、そっと手を指しのべるのです。
あなたのか弱き幼い手をそわっと握ると、私はもう存在していない。そしてあなたは、私のまだ誰も知らない場所にうっとりと逃げていくのです。
なぜあなたはそんなに軽やかにふわりと人間を纏わせているのでしょうか。そんないとも簡単に神の真理になっているのは、不思議な人ですね。
私の不思議、あなたの不思議どちらが淒いのかしら。私の不思議の中に、私自身は一体どうしたらいいのかしら。そしてこの生命の不思議には一体どうしたらいいのかしら。
あなたが神だという事をはっと知ってしまいました。私はただ知らないふりをしていただけなのです。
あなたのそんな軽やかな木々が放つ胞子がふわっと宙を飛翔する浮遊性で、そっと母性のふっくらとした優しさをしっとり感覚しているのです。
あなた、そんなあなたにときめかない私がいるでしょうか。
私をただの女だと思ってはいけません。きっと宇宙にはひそやかに滴る雫があるのだわ。きっと、ほらっ、私は神を泣かせてしまったのです。
あなたはいってしまうのが本当にはやかったのです。
そんなにもいってしまうのが、うっとりとやわらいでいく心のオアシスに、そっと蜜の中に穏やかな潤いを初めて知るのです。私をそっと優しく見守っていてくださいね。
私は神の視座になっていくんだわ。私の心はあなたの才能に魅力されてふわーっと軽やかに飛翔した。そんなあなたのような素晴らしい才能はかつて見た事はありませんでしたわ。
私にはわからなかった広大深遠な宇宙の中に明星が、ただうっとりとそんな乙女の可憐な御姿で、ほらっ、ここにここにいたんだね。
大丈夫だよ。私にも教えて、恋愛の不思議さというものを。私、こんなにこんなにも美しくなっているんだわ。
こんなにも感動しているんだわ。きっと今世界に一つの真理を感じているんだ。
私、今日から乙女から一人の大人の女になります。大人になりたくてなりたくて、やりたくて、こうして生まれ変わります。
私にそんな親しみある態度でなさらないでください。そんなにもあなたに対して何気ない素振りをした。感じていないんだからね。乙女なんだからやさしく扱ってちょうだいね。そんなに強くされると、乙女ではなくなってしまいます。
でもその愛情がやっぱり嬉しいの。私、こんなに嬉しくなっていくの。昇っていくの、こんなに愛されて幸せになりましたわ。こんなにも女、女として。

青いさざ波

青いさざ波

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-26

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