優しいあなた
あなたの祖先は何処から来たのでしょうか。ふとその女は私を見つめたのです。
なぜ、あなたは私をそんな美しい表情で見つめるのですか。私をそんな、あなたは青空を遠く遠く見つめていたのはなぜなのでしょうか。あの時、あなたは何を青空に人生を委ねなければならなかったのでしょうか。そしてなぜあなたは泣かなければならなかったのでしょうか。
あなたはなぜ知らなかったのですか。バッハがリチェルカーレをその神の手がそっと奏でている世界を。そう、天国の調べとの距離をどのように計りあなたの世界は調和へと向かわなければならないのか。
バッハにはその少女を音楽で癒す天の使命をこの世界に受けていたのです。
その真実がごく自然にただそこに存在していたのです。
ねえ、そこに神様がいるのです。私、あなたが気づいていないから呼んできます。
あなた、私はここにいるのよ。私の方へ来て下さい、お待ちしているのです。私の心、そしてどのように移ろいゆくのかしら、不思議ね。これから私の心はとっても移ろい変化していくのでしょう。
あなた、やっと私に気づいてくれました。私に気づいて、あなたが私を見てくれている。ただそれだけでいいのです。あなた、ずっとそこにいて下さい、そこにすぐそばに、あなた、お願いいたします。あなたに見つめられて、私は本物になります。
やっと人生の全ての重荷を取り外して下さい。私はあなたに手を差しのべました。お願いいたします、私の手を握って下さい、私の手をやさしく握って下さい。そして私を助けて下さい、私をどうか。
私はいてもたってもいられなく泣いていた。このまま死んでいくのでしょうか。このまま死ぬのはなんて惨めなのでしょう、一体何のために生きなければならなかったのでしょう。私にもわからない人生の意味に。あなたにもわからない人生の意味に。
そして意味も無く宇宙が大きくゆったりとシンプルに動いていきました。そして私も一緒に動いていきます。あなたの手に究極の真理の感覚で神を感じていた、私は宇宙を創造した手にさわったのです。
宇宙の創造した人間と一時だけ一緒になれたこの感覚をどのように、ああ、私は蘇生したのです。体から今まで未だこの世で見た事もない感性がでてくるのです。
不思議な光に包まれていく、私は生まれる前の姿になっています。何かここは現世になる前の世界に感情は超えて初めていく。私の体はちりんちりんと仏様の鈴に誘われてふっと離れていくのです。
私はど何処へ、私の心はいずこへ旅立つのでしょう。あなた、あなた、何処にいるのですか、私は迷子になってしまったのです。
マリアさんにいけない事をしたのです。いけない子だったのでしょうか。
するとそこに母親がやさしく微笑していたの。安心しましたの。やっとこれで生きるのをやめるのかしら。私にも1つの恩返しができたのです。これでこの世界の苦しみから解放されるの。
心と体、もう存在しないの。私、存在しなくてもいいの。あなたに会えて、ただそれだけで良かったのです。私、もういいの、もういいのです。私、生きなくていいの。
私は私にただ一つになっていく。あなたにもわかっていたこの世界の真実に気づいていたのです。あの世にいるのですね。何という安らぐ優しい御国に私は敬礼をするのです。全てが解かれていく人生の意味に全てが無くなったのです。
私をこの世界からいなくさせたのはあなたなのです。あなたにあの世に行かしてくれて私は嬉しいの、あなたの、あなたの腕の中で私は死んでいるのです。動かなくなった私を見て、あなたは泣いていました。あなた、私は嬉しかったのですよ。私はこれで安心したのです。あなただけに見られていきたかったのです。あなたは私のいく時も優しかったの。私は完全に愛に委ね、愛に死んだのです。
あなたは私の事をやさしく見送ってくれたのです。もはやこの世界に何の心も体もありません。もはや何の苦しみもありません。ただそれだけ真実は一つなのです。何て人生とは、素晴らしいのでしょう。
これでいいのかしら。これで本当にいいのですね。私、こんなに爽やいでいく。
優しいあなた